六本足
笑府
急ぎの文書を飛脚にとどけさせようとして、役所で早馬を出してやったのに、その飛脚、馬には乗らず、手綱を取ったまま馬といっしょに走りだした。
「急用なのに、なぜ馬に乗らないのだ」
ときくと、飛脚のいうには、
「急ぐからだ。四本の足で走るよりも六本の足で走る方が早いはず」