早駆け
笑府
馬に乗ることの好きな男、人にだまされて五十両で馬を買ったが、たいへんな駄馬で、いくら鞭(むち)をあてても走らない。そこで舟を雇って馬を載せ、その上に乗ったが、舟足がのろいのにいらいらして船頭にいった。
「酒手(さかて)をはずむから、もっと早く漕いでくれ。一つ早駆けといきたいんだ」