十月八日
この頃《ごろ》、天気を記すことさえ怠り居り。終日部屋に籠《こも》り居ればなり。米と水あらば、人間死ぬることなしと思い居しが、そは陸に居りてのことにて、海の上にては然らず。
去年の今日ならむか、岩松が家を尋ねて、今一度船に乗りてくれぬかと乞《こ》いしは。かの日岩松の膝《ひざ》にありし赤子思えば胸痛し。老いたるその父その母、かの美しき妻女もまた哀れなり。
この頃《ごろ》、天気を記すことさえ怠り居り。終日部屋に籠《こも》り居ればなり。米と水あらば、人間死ぬることなしと思い居しが、そは陸に居りてのことにて、海の上にては然らず。
去年の今日ならむか、岩松が家を尋ねて、今一度船に乗りてくれぬかと乞《こ》いしは。かの日岩松の膝《ひざ》にありし赤子思えば胸痛し。老いたるその父その母、かの美しき妻女もまた哀れなり。






