空中ブランコ
翌朝、男は、上りのジーゼルカーで菜穂里を発った。まもなく、洗濯場のそばを通ったとき、大勢の女たちがそこで洗濯しているのを男はみたが、ゆうべの女には気がつかなかった。女もまた、男がそのジーゼルカーで発ったとは知らない。線路の風で乱れた髪を、女はただ濡れた手でうるさそうに|掻《か》き上げただけであった。
十
翌朝、男は、上りのジーゼルカーで菜穂里を発った。まもなく、洗濯場のそばを通ったとき、大勢の女たちがそこで洗濯しているのを男はみたが、ゆうべの女には気がつかなかった。女もまた、男がそのジーゼルカーで発ったとは知らない。線路の風で乱れた髪を、女はただ濡れた手でうるさそうに|掻《か》き上げただけであった。






