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正しい乙女になるために68
日期:2020-10-31 19:14  点击:287
 ファンの心──基本的恋愛権の尊重と戦争放棄
 
 君がその人のファンであるというのなら、全てをなげうたねばなりません。勿論これは極論。そこまでしなくともファンになんて気軽になれるものです。でもしかし、君が本当に本当にファンという気持ちを抑えられないくらいに、嘔吐する程に戦慄する程に、その生命を賭して対象に魅了されてしまったのなら、そこに自分の理想の化身を発見したのなら致し方ない。ひたすら相手に滅私奉公。奴隷となり執事となり、見返りなど求めず与え続け、好きでい続けるのです。何だか新興宗教の怪しい勧誘のやうですが、それが君の救われる唯一の狭き門なのです。
 ファンになる気持ちは一種の恋愛感情です。ファン心と一般の恋愛の情が違うもの、ファン心は恋愛より格下の憧れの情と定義する人達がいますが、彼らは本当におバカさんです。世界の全ての現象に貴賤はありますが、恋慕の情に限りそれはございません。ブラウン管でしか逢えないタレントに恋するのも、気心知れたクラスメイトに恋するのも、通学電車でみかけるだけのあのお方に胸ときめくのも、全て同じなのです(憲法第一〇四条基本的恋愛権の尊重)。違うのはその状況のみ。級友なら君の気持ちを告白しその存在をアピールし、相手とのコミュニケーションが可能。しかしファンとなるとそうはまいりません。アピールすれど気持ちは常に一方通行。たとえ逢えても向こうは君のことなんて恋愛の対象として捉えてはくれません。
 ですから、君は敢えてファンという立場を遂行するのです。恋愛は戦争です。力のおよそ均等な国同士が領地を獲りあうからこそ成立いたします。相手を陥落させる可能性が一縷《いちる》でもなければ戦争とは認められません。相手を倒す力が明らかになければ、単なる反乱。ファンであることに甘んじるのは反乱の力しかない場合です。しかし「貴方のファンです」という言葉は、力の法則と戦争の手続きを無視して相手と同等に立てるジョーカーとなります。ファンだという告白は形勢を一瞬にして逆転させるのです。しかし白旗を掲げた訳ですから、貴方は一切の権利を自ら放棄せねばなりません。これは級友との恋愛に際しても同様。どうしても振り向いてくれない相手を諦めきれないのなら、君はその人のファンになればよいのです。これが戦争放棄という恋愛の禁じ手です。

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