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ぐうたら人間学112
日期:2020-10-31 20:22  点击:319
 ミクロの女体圈�がいいな
 
 客集めにはすぐエロと考える日本映画界に少し考えてもらいたい問題であるといえば、泉青年、アクビなどをする。
「しかし」拙者、少し声をひくめて「もしこの狐狸庵が、あの脚本書いたならば、もっとおもしろく話をつくれたろうにな」
「ほんとか」
「ほんとだ。ハリウッドも惜しいことをしたものよ」
「ふーん。では、どんな話だ」
 拙者そこで煙草一服すいつけて、おもむろに話しはじめた。
 すなわち、映画では患者を男にしたからよくない。これを若くて美しい女性にするのである。
「なるほど。それで」
 しかしてこの女性の体内に潜航艇にて乗りくむ医者の中に、彼女の恋人を一人いれる。
 あとは大体、映画のすじ書き通りであるが、しかし後半がちがう。
 患部を手術してな、さて体外に脱出せんとしたところ、キャプテン、航路をあやまり、患者の胃から腸に艇をすすめてしまった。この腸の中にて、艇のエンジンは故障するのである。艇はもはや動かない。電気も切れてしまった。危険はせまる。
 さてどうするか。
「ここが全編サスペンスのクライマックスだな」
「爺さん、それでどういう結末を与えるのだ」
「まア、せくな、せくな。一寸、煙草を一服」悠々とキセルに火をつけ、スパスパ。「乗り組んだ医学者たちは考えた。このうえは潜航艇を患者体内の力で動かすよりしかたない。それには腸に刺激を与え、患者に大きな屁意を催させよう。そしてその屁の力で潜航艇を体外に飛び出させるのだ。そう、医者たちは考えた」
「うーむ」
「そこで、全員、ガスマスクをつけ、この患者の腸に刺激を与えた」
「なるほど」
「たちまちにして腸は蠢動《しゆんどう》し、腸内のガスは凝集し——そして大発音と共に潜航艇及び乗り組み員は、女性患者の体外に脱出したのである」こういうウイットにとむが下品な話となると、泉青年の目は光るのである。
 しかし、狐狸庵は、別のことを、この話を通して語りたかったのだ。
「体外に出て、元の大きさにもどった医者は、まだベッドに昏々と眠っているおのが恋人をじっと眺める。一時間前までは、あれほどアコがれ、うつくしいと思った女性も、自分がそのからだにもぐりこみ、胃はともかく、屁のこもった腸まで通過してみると——百年の恋も一時にさめるか——と思われる。彼は恋人にたいする夢を消したのだろうか」
「消したのか」
「いや、彼は同僚に決然、語っていう。わたしはそれでも彼女をやっぱり愛する、と、……」
 生理にたいする精神の勝利をこれほど端的に表現できる脚本はないのだと、拙者、泉青年に語ったが、彼は、わかったようなわからんような顔をするのみであった。

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