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怪指纹:怪人R·K
日期:2021-08-15 23:12  点击:268

怪人物R


 隅田川の夜更け、ボート遊びの男女が、吾妻橋の上から投げ捨てられた奇怪な錫の小函の中から、今斬り取ったばかりのような生々しい人間の指を発見して、色を失った、その翌朝(よくあさ)のことである。
 警視庁の中村捜査係長は、出勤の途中、ふと宗像博士を訪ねて見る気になり、丸の内の宗像探偵事務所に立寄った。
 中村係長は、民間探偵とはいえ、宗像博士の学識と手腕に、日頃から深く傾倒しているので、何かというと、博士を相談相手のようにしていたのだが、殊に今度の三重渦巻の怪指紋の犯人の事件では、博士は被害者川手氏の依頼を受けて、その捜査に当っていることでもあり、何か新しい手掛りの発見でもないかと、時々宗像探偵事務所を訪問して見るのであった。
 宗像博士は中村警部の顔を見ると、
「や、いいところへお出で下すった。実は僕の方からあなたのところへ出向こうかと思っていたところです」
 といいながら、先に立って、警部を奥まった化学実験室へ案内した。
「ホウ、そうでしたか。じゃ、何か新しい手掛りでも……」
「そうですよ。マアお掛け下さい。色々重大な御報告があるのです。無論例の三重渦状紋の怪物についてですよ」
 中村警部はそれを聞くと、早朝の訪問が無駄でなかったことを喜びながら、目を輝かして博士の顔を見つめた。
「そいつは耳よりですね、一体どんなことです」
「サア、どちらからお話していいか。実は御報告しなければならない重大な事柄が二つ重なって来たので、僕も面喰らっているのですが、マア、順序を追ってお話しましょう。
 その一つは、川手庄太郎氏が行方不明になってしまった事です」
「エッ、行方不明に?」
「そうです。これは僕に全責任がある訳で、全く申訳ないと思っているのです。川手氏を甲府(こうふ)の近くの山中の一軒家へ(かくま)ったことは、先日お話した通りですが、あれ程用心に用心を重ねて連れて行ったのに、どうしてこんなことになったのか、殆んど想像もつきません。
 一昨日(おととい)でした。川手氏から至急来てくれという電報を受取ったのです。用件は書いてありませんでしたが、あの不便な山の中から電報を打つくらいですから、よくよくの事に違いないのです。
 ところが、その日僕は別の事件で、どうしても手の放せないことがあったものですから、一日延ばして、昨日の午後やっと川手氏のところへ行ったのです。
 行って見ると、留守番の爺さん夫婦のものが、オロオロしながら、今朝から川手氏の姿が見えないというのです。昨夜お寝みになったまま、蒲団がもぬけの殻になっていて、いつまで待っても食事にもいらっしゃらないので、(うち)の中は勿論、庭から附近の山までも探し廻ったのだけれど、どこにも姿が見えぬというのです。
 調べて見ると、川手氏の衣類はちゃんと揃っている。寝間着のままで行方不明になってしまったのです。まさか寝間着のまま汽車に乗る筈もなく、自分の意志で家出をしたとは考えられない。てっきり何者かに(さら)われたのです。イヤ、何者かではない、あの三重渦巻の怪物に連れ去られたのに違いありません。
 僕は余程あなたにお電話しようかと思ったのですが、東京からお出でになるのじゃ夜中になってしまいます。で、やむを得ず、僕自身で出来るだけのことをしました。
 あちらの警察と青年団の手を借りて、一寸した山狩りのようなこともやって見ました。その捜索はまだ今でも続けられている筈ですが、昨夜(ゆうべ)僕の帰るまでには、何の発見もありませんでした。
 一方僕は自身で、附近の三つの駅に電話をかけて、怪しい人物が下車しなかったか、何か大きな荷物を持った人物が乗車しなかったかと、訊ねて見たのですが、どの駅にもそういう怪しい人物の乗降はなかったのです。イヤ、あったとしても、駅員には少しも気附かれなかったのです。
 で僕は一先ず東京へ帰ることにしました。例の怪指紋の犯人の仕業とすれば、その本拠は東京にあるのですし、いずれは川手氏の死体を東京の真中で、衆人に見せびらかす計画に違いないと考えたからです。それと、この事をあなたにも報告して、今後の処置について、よくお打合せしたかったのです。その上、都合によってはまたNへ引返すつもりでした。
 ところが、今朝夜明けに新宿に着いて、一応自宅に帰り、今し方事務所へ来て見ますと、ここにも(また)、実に驚くべき事件が待ち構えていたのです」
「エッ、ここにもですって?」
 中村警部は、川手氏の行方不明について、もっと詳しく聞き(ただ)そうとしていたのだが、今はそれも忘れて、膝を乗り出さないではいられなかった。
「そうです。僕が来る少し前、この事務所へ妙な品物が届けられたのですが、それを見て、僕は川手氏の行方を急いで探す必要はないと思いました。あの人はもう生きてはいないのです。その品物が川手氏の死をはっきりと語っているのです」
「それは一体何です。どうして、そんな事がお分りになるのです」
「これですよ」
 宗像博士は、化学実験台の上に置いてある、小さな錫の小函を指し示して、
「今朝、三十歳位の会社員風の男が僕を訪ねて来て、助手が不在だというと、手帳の紙をちぎって、こんなことを書きつけて、これと一緒に僕に渡してくれといって、逃げるように立去ったというのです。その男はひどく青ざめて、震えていたといいます」
 云いながら、博士はポケットからその手帳の紙を取出して、中村警部に渡したが、それには鉛筆の走り書きで、()のように記してあった。

昨夜午後十時頃、ボートを漕いでいて、吾妻橋の下で、この品を拾いました。包んであった新聞紙も紐もそのままお届けします。なぜこの品を先生のところへ持って来たかは、小函の中のものをよくごらん下されば分ります。今出勤を急ぎますので、後刻改めてお邪魔します。

佐藤恒太郎(さとうつねたろう)

宗像先生

「フーム、吾妻橋の下で拾ったというのですね。すると、誰かがこの品を隅田川へ投げ捨てたという訳ですか。綺麗な小函じゃありませんか。中に一体何が入っているのです」
「実に驚くべきものが入っているのです。マア開けてごらんなさい」
 博士は錫の小函を中村警部の方へ押しやった。
「錫の函を、こんなに沢山の新聞で包んで、その上をこの紐で括ってあったのですね。ひどく用心深いじゃありませんか」
 警部はそんな事を云いながら、拇指と人差指で、小函の蓋をソッとつまみ、静かにそれを持ち上げた。
「オヤ、血のようですね」
 小函の中には、読者は既に御存知の血染めのハンカチが丸めて押し込んである。中村氏はそのハンカチを、実験台の上に取出して、恐る恐る開いて行った。開くに(したが)って、何か不気味な細長いものが現われて来た。指だ。人間の指だ。鋭利な刃物で根元からプッツリ切断した、まだ生々しい血染めの指だ。
「女の指のようじゃありませんか」
 警部は職掌柄、はしたなく驚くようなことはなかったが、その顔には流石に緊張の色を隠すことが出来なかった。
「僕もそう思うのですが、しかし女と極めてしまう訳にも行きますまい。華奢(きゃしゃ)な男の指かもしれません」
「しかし、この指が川手氏の死を語っているというのは? これが川手氏の指だとでもおっしゃるのですか」
 警部は血に染まった女のように細い指と、宗像博士の顔を見比べるようにして、不審らしく訊ねた。
「イヤイヤ、そうではありません。ここに拡大鏡がありますから、その指をもっとよく調べて下さい」
 博士が差出す拡大鏡を受取ると、警部はポケットから鼻紙を取出して、それで指をつまみ上げ、拡大鏡の下に持って来て、熱心に覗き込んだ。
「オヤッ、この指紋は……」
 流石の警部も、今度こそは顔色を変えないではいられなかった。
「見覚えがありましょう」
「見覚えがあるどころか。渦巻が三つ重なっているじゃありませんか。三重渦状紋だ。例の奴とそっくりです。これは一体……」
「僕は今、その隆線の数も(かぞ)えて見ましたが、例の殺人鬼の指紋と寸分違いません」
「すると……」
「すると、この指は犯人の手から斬り取られたのです。恐らく犯人自身が斬り取って、隅田川の底へ沈めようとしたのでしょう。重い錫の小函を使ったのも、その目的に違いありません」
「なぜです。あいつは、なぜ自分の指を斬り取ったりしたのです」
「それは容易に想像がつくじゃありませんか。考えてごらんなさい。犯人はこの指さえなくしてしまえば全く安全なのです。我々が犯人について知っているのは、ただこの三重渦状紋だけです。これさえ抹殺してしまえば、犯人を捉える手掛りが皆無になる訳ですからね。
 犯人は川手氏を脅かし苦しめる為めに、この怪指紋を実に巧みに利用しましたが、その大切な武器を惜しげもなく切り捨てたところを見ると、もう指紋そのものが不要になった、つまり復讐の目的を完全に果したとしか考えられないじゃありませんか。僕が川手氏はもう生きていないだろうというのは、そういう論理からですよ」
「なる程、目的を果してしまったら、俄かに逮捕されることが恐ろしくなったという訳ですね。よくある奴です。僕もあなたの想像が当っているような気がします。それにしても、その小函が、どういう経路で佐藤という男の手に入ったか、又この手帳の切れっぱしに書いてある事が事実かどうかを、先ず取調べて見なければなりません。変な奴ですね、警察へ届けもしないで、いきなり先生のところへ持って来るなんて、この男を疑えば疑えない事もないじゃありませんか」
 中村警部は警察が無視された点を、何より不服に思っているらしく見えた。
「ハハハ……、イヤ別に深い考えがあった訳じゃないでしょう。世間では三重渦巻の事件といえば、すぐ僕の名を思い出すような具合になっているのです。新聞があんなに書き立てるのですからね。佐藤という男も、それを知っていて、態と僕の所へ持って来たのでしょう。これを拾って指紋に気附いたところなどは、なかなか隅に置けない。例の街の探偵といった型の男ですね」
「それにしても、その男がもう一度ここへやって来るのを待って、詳しく聞き(ただ)して見る外はありませんね。この指や小函だけでは、犯人が何者だか、どこに隠れているか、全く見当もつかないのですから」
「イヤ、僕の想像では、佐藤という男も多くを知ってはいまいと思うのです。ただ橋の上から投げ込まれたのが、偶然ボートの中へ落ちたというような事でしょうからね。それよりも、我々は手に入ったこれらの品を、綿密に研究して見なければなりません。一本の紐も、一枚の古新聞も、ましてハンカチなどというものは、証拠品として非常に重大な意味を持っていることがあるものです」
「しかし、見たところ、別にこれという手掛りもなさそうじゃありませんか。手掛りといえば、この指紋そのものが何より重大な手掛りですが、こうして犯人の身体から切り放されてしまっては、全く意味がない訳だし、この錫の小函にしても、どこにでも売っているような、ありふれた品ですからね」
「如何にも、指と小函に関しては、おっしゃる通りです。しかし、ここにはまだ紐と新聞紙とハンカチがあるじゃありませんか」
 宗像博士は、()ぜか意味ありげに云って、相手の顔を見つめた。中村警部はそれを聞くと、脇に落ちぬ体で、改めて血染のハンカチを拡げて見たり、包装の古新聞を裏返して見たりした。
「僕には分りませんが、これらの品に、何か手掛りになるような点があるとおっしゃるのですか」
「もっと念を入れて調べてごらんなさい。僕はこの品々によって、犯人の所在を突きとめることが出来るとさえ考えているのですよ」
「エッ、犯人の所在を?」
 警部はびっくりしたように、博士の顔を見た。博士はさも自信ありげに微笑んでいる。学者めいた三角型の顎髯に、何かしら奥底の知れぬ威厳のようなものが感じられた。
「先ずこの血染めのハンカチです。血まみれていて、ちょっと気がつかぬけれど、この隅をよくごらんなさい。赤い絹糸でイニシアルが縫いつけてある。光にかざして見ないと分らないが」
 警部はハンカチを手に取って、窓の光線にかざして見た。
「なる程、RとKのようですね」
「そうです。犯人はRKという人物ですよ。偽名かも知れないが、いずれにしても、これは犯人のハンカチでしょう。川の底へ沈めてしまうものに、まさか作為をこらす筈もありませんからね」
「しかし、広い東京には、RKという頭字(かしらじ)の人間が、無数にいるでしょうから、この持主を探し出すのは容易のことではありませんね」
「ところが、よくしたもので、その無数の中からたった一人を探し出す別の手掛りが、ちゃんと揃っているのですよ。この頭字をクロスワードの縦の鍵とすれば、もう一つ横の鍵に当るものを、我々は手に入れているのです」
 中村警部はそれを聞くと、面羞(おもは)ゆげに瞬きをした。博士の考えていることが、少しも分らなかったからである。
「その鍵というのは小函の包んであった新聞紙の中に隠されているのですよ。御丁寧に五枚も新聞を使っていますが、その内四枚は『東京朝日』です。ところが、ごらんなさい。一枚だけ地方新聞が混っている。『静岡日々(にちにち)新聞』です。これは一体何を意味するのでしょうか」
 だが、情ないことに、中村氏にはまだ博士の真意が理解出来なかった。ただ先生の前の生徒のように、じっと相手の顔を見つめている外はないのだ。
「犯人が往来や外出先で指を切るなどということは考えられない。無論自宅でやったのに違いありません。そうすれば、この新聞も、その場にあり合せた、犯人自身の購読している新聞を使用したと考えても、先ず間違いはないでしょう。『東京朝日』は皆昨日の朝刊です。『静岡日々』だけが一昨日(おととい)の日附になっている。これによっても、犯人がその日読み捨てた新聞を、何気なく使ったことが、よく分るではありませんか。
 ところで、この『静岡日々』ですが、これは犯人が街頭の地方新聞売子から買ったものか、それとも、直接本社から毎日郵便で犯人のところへ送っているものか、二つの場合のどちらかです。
 そこで、僕は若しやこの新聞に郵送の帯封の痕が残っていないかと、拡大鏡で調べて見たのですが、ごらんなさい、ここにちゃんとその痕跡がある。極く僅かだけれど、ハトロン紙を剥がした痕が残っている。
 サア、これがあいつの致命傷ですよ。無論犯人は川に沈める積りだったのだから、ハンカチのイニシアルもそのままにして置いたし、ハトロン紙の痕跡など、まるで注意もしなかったのでしょうが、それが偶然ボートの中へ落ちて、僕の手に入るなんて、恐ろしいことです。どんな賢い犯罪者でも、いつかは尻尾(しっぽ)を掴まれるものですね」
「アア、なる程、やっと分りました。その静岡日々新聞社の直接読者名簿を調べればいい訳ですね」
 中村警部は疑問がとけて、ホッとした面持である。
「そうですよ。東京でこんな田舎新聞を取っている人は、そんなに沢山ある筈はない。精々百人か二百人でしょう。その中からRKの頭字の人物を探せばいいのですから、何の面倒もありません。あなた方警察の手でやれば、数時間の間に、このRKの住所をつきとめることが出来るでしょう」
「有難う。何だか目の前がパッと明るくなったような気がします。では、僕はすぐ捜査課に帰って手配をします。ナアニ、電話で静岡警察署に依頼すれば、RKの住所姓名はすぐ分りますよ」
 中村警部は(おもて)を輝かして、もう椅子から立上っていた。
「じゃ、この証拠品はあなたの方へ保管して置いて下さい。そして、犯人の住所が分ったら、僕の方へも一寸お知らせ願えれば有難いのだが」
「無論お知らせしますよ。では、急ぎますからこれで……」
 中村捜査係長は、博士がハトロン包みにしてくれた証拠品を受取ると、いそいそと事務所を立去るのであった。

    深夜在隅田川划着小船玩的男女俩人,从吾妻桥上扔下来的奇怪的锡匣子中,发现刚切下来的血淋淋的人手指,不禁大惊失色。事情就发生在第二天早晨。
 
    警视厅的中村侦查股长在上班途中突然产生了拜访一下宗像博士的念头,于是顺便去了丸内的宗像侦探事务所。
 
    宗像博士虽说是民间侦探,但中村股长对其学识和本领一直深为敬慕,所以一有什么事就把博士当作顾问,特别是在这次三重旋涡怪指纹的犯人案件中,博士接受了被害者川手的委托,所以中村常去访问宗像侦探事务所,看有没有发现什么新的线索。
 
    “啊,来的正是时候。其实我正想去您那儿呢。”
 
    宗像博士一见中村警部一面这样说,一面在前头把警部领到了最里面的化学实验室。
 
    “哦,是吗?那有没有什么新的线索什么的?……”
 
    “有呀。先请坐。我有许多重要的情报要向您汇报,当然是关于那个三重涡状纹的怪物暧。”
 
    中村警部一听这话就一面为自己没有白来而感到高兴,一面目光炯炯地凝视着博士的脸。
 
    “这可是求之不得的好消息啊。究竟是什么事?”
 
    “这…从哪儿说起好呢?说实在的,因为要向您汇报的重要事情有两件赶在一起了,所以我也有点慌神了,哎,先按次序说吧。第一件事是川手庄太郎失踪了。”
 
    “啊?!失踪了?”
 
    “是的。这我当然要负完全责任,实在是对不起呀。正如前些日子跟您说的,我把川手藏到了甲府附近山里的一所房子里,我是百般地提防着带他去的,可不知为什么落得这么个结果,真叫人难以想象啊!那是前天,我接到了川手叫我速去的电报。没有写着什么事情,但他是从那木方便的山里打电报的,所以一定有什么情况。可那一天我因别的案件怎么也无法脱身,所以推迟了一天,于昨天下午才去川手那儿。到那儿一看,看家的老夫妇惊慌失措地说从早晨起不见川手的影踪了。他们告诉我说:屋子里还是他昨晚睡觉时的那副样子,只是被窝空空的,怎么等他也不来吃早饭,所以不用说是家里,连从院子到附近的山里也都找了一遍,但哪儿都没有影踪。我检查了一下,川手的衣物都齐全,他是穿一身睡衣失踪的,决不会穿着睡衣乘火车,不能想象是以自己的意志离家出走的。一定是遭到哪个人袭击了,不,不是哪个人,一定是被那个三重旋涡的怪物带走了。我很想给您打电话,可要是从东京来的话就到深夜了,所以我只好自己干了一些力所能及的事情。也借助那边警察的手搜了一下山,那搜索现在应该还在进行,但到我昨晚回来时还没有任何发现。另一方面,我自己给附近的三个车站打了电话,询问了有没有可疑的人下车,有没有拿着大件行李的人上车,但哪个车站都没有这种可疑的人上下车。不,即使有也不会被站务员发现的。所以我决定暂回东京,因为我想如果这是那个怪指纹的犯人干的,那么他的大本营是在东京,而且他早晚一定会在东京市中心给众人看川手的尸体的。我想向您汇报这件事,好好商量一下今后的措施,而且根据情况还打算返回N去。我是清晨到达新宿的,先回了一趟家,但刚才来事务所一看,这里也有一起实在骇人听闻的案件等着我。”
 
    “啊?!这里也有?”
 
    中村警部想进一步详细打听一下川手失踪的事,但此刻却忘了这点,不禁探身问道。
 
    “是的,我来前不久,事务所收到了一件奇怪的东西。见了这东西我想没有必要急着去寻找川手了。他不再活着了,那东西清楚地说明川手已经死了。”
 
    “这到底是怎么回事?您是怎么知道这一点的?”
 
    “是这个。”宗像博士指着摆在化学实验台上的小小的锡匣子,“听说今天早晨有个三十岁左右的职员模样的男子来找我,助手说我不在,他立即从笔记本上撕下一页纸写上了这些话,然后说了声把这东西一起交给我后,逃也似地离开了。听说那人脸色苍白,浑身直打哆喀。”
 
    博士边说边从兜里掏出那笔记本的纸递给了警部,那上面用铅笔潦草地写着如下的话:
 
    宗像先生:
 
    昨晚十点左右,我在吾妻桥下划船时从上面掉下了这东西,包着报纸和绳子都原封未动给您送上。您好好看一下匣子里的东西就知道我为什么要把这东西拿到先生这儿来了。现在我要赶上班,回头再来打扰您。
 
    佐藤恒太郎
 
    “哦,是说从吾妻桥上掉下来的吧,那就是说有人把这东西扔到隅田川罗?是个漂亮的小盒子啊,里面究竟装着什么呢?”
 
    “装着骇人听闻的东西。请打开看看。”
 
    博士将锡匣子朝中村警部推了推。
 
    “是用这么多的报纸包着锡匣子,又用这绳子捆在上面吧?不是十分小心吗?”
 
    警部一面说着一面用拇指和食指轻轻地捏住小区盖子,把它拿了起来。
 
    “哎呀,像是血呀。”
 
    区中塞着读者已经知道的沾满血迹的手帕。中村把那手帕取到实验台上,战战兢兢地慢慢打开着。随着完全打开,露出了一样令人毛骨悚然的细长的东西。是手指!是人的手指!是用锋利的刀从根部噗呼一下切断下来还没有多久的血淋淋的手指!
 
    “不像是女人的手指吗?”
 
    警部虽然由于职务上的关系没有过分惊讶,但他脸上毕竟没能掩饰紧张的神色。
 
    “我也这么想,但不能咬定是女人吧。也许是身体娇嫩的男人的手指。”
 
    “可为什么说这手指说明川手已经死了呢?您是说这是川手的手指吗?”
 
    警部看看满是血的女子般纤细的手指,又看看宗像博士的脸,不相信似地问道。
 
    “不不,不是。这里有放大镜,请再仔细检查一下这手指。”
 
    警部一接过博士递过来的放大镜立即从兜里掏出卫生纸,用它捏起手指,放到放大镜下认真地观察起来。
 
    “哎呀,这指纹是……”连警部这回也禁不住变了脸色,“不是重叠着三个旋涡吗?是三重涡状纹,跟那家伙一模一样。究竟是……”
 
    “我刚才也数了一下那隆线的数目,跟那个刽子手的指纹分毫不差。”
 
    “这就是说”
 
    “这就是说这手指是从犯人的手上切下来的。大概是犯人自己切下来,企图把它沉入河底的吧。使用了很重的锡匣子也一定是这一目的。这不是很容易想象得到的吗?你想想,犯人只要没有了这指头就会完全安全了。这犯人我们所知道的只是这三重涡状纹。只要去掉了这个,逮捕犯人的线索就会全没了。犯人为了恐吓、折磨川手,相当巧妙地利用了这怪指纹,但从他毫不可惜地切去他的重要武器这点来看,指纹本身已经不需要了。这就是说,只能认为他已经完全达到了复仇的目的。难道不是吗?我之所以说川手大概不再活着是出于这种逻辑。”
 
    “可不是。这就是说,一达到目的就突然害怕被逮住。常有这种家伙。我也觉得你的推测是对的。话虽这么说,但必须先调查一下那小匣子是通过什么途径到佐藤这个人的手里的,这笔记本的纸片上写着的又是否是事实。这家伙很奇怪呀,不送到警察署去,马上就拿到先生这儿来,不是也值得怀疑吗?”
 
    看来中村警部好像对警察没被重视这一点最为不满。
 
    “哈哈哈哈哈,不,大概并没有想得那么多吧。社会上都有了这样一种情况:一提起三重旋涡的案件就立即想起我的名字来。因为报纸那样大书特书嘛!大概叫佐藤的这个男人也知道这一点,特意拿到我这儿来的吧。从他拾到这东西发觉指纹这点来看,还真有两下子哩!是这种街头侦探类型的男人。”
 
    “话是这么说,但只有等他再来这儿详细打听一下,因为光这指头和小匣子是完全猜测不出犯人是谁,藏在什么地方的。”
 
 
 
 
    “不,据我猜想,佐藤这个人大概也不会知道很多的,因为只不过是从桥上扔下来偶然落到了小船里罢了。倒是我们必须细密地研究一下到手的这些东西,有时候一根绳子。一张旧报纸,更何况手帕等东西作为物证都具有非常重大的意义。”
 
    “可是看来好像没有什么特别重要的线索吗?说起线索,这指纹本身当然是最重要的线索,但要是这样从犯人的身上切离下来,那就毫无意义了,就是这锡匣子也是那种哪儿都有卖的平常的东西嘛。”
 
    “关于指头和小匣子正如您所说的,可这里不还有绳子和报纸、手帕吗?”
 
    宗像博士凝视着对方的脸,像是有什么用意似地说道。中村警部一听这话就显出纳闷的样子,忽而重新摊开沾满血迹的手帕看看,忽而翻过包装用的旧报纸来看看。
 
    “我弄不明白,您是说这些东西中有什么可作为线索的地方,是这样吗?”
 
    “请您再仔细检查一下。我甚至认为,通过这些东西可以彻底查明犯人的下落。”
 
    “啊?犯人的下落?”
 
    警部吃惊地看了博士一眼,博士信心十足地微笑着,那学者模样的三角胡子使人感到有一种深奥莫测的威严。
 
    “首先是这块沾满鲜血的手帕。因为沾满了血,所以不大容易发觉,但您好好看看这角上,用红丝线缝着姓名的缩写字母。不迎亮是看不清的,可是……”
 
    警部拿起手帕,迎着窗户的光线看了一下。
 
    “可不是。好像是R-K这两个字。也许是假名,但不管怎样,这是犯人的手帕吧,要把它沉到河底去哪会再弄虚作假呢?”
 
    但在偌大的东京有无数R-K这一缩写字母的人吧。找出这块手帕的主人可不是件容易的事啊!”
 
    “说来也巧,从这无数人中找出一个人来的另外的线索也完全齐全了。如果把这缩写字母当作是一把纵横的填字字谜的纵的钥匙,那么我们得到了相当于一把横的钥匙的东西。”
 
    中村警部一听这话便不好意思地眨了眨眼睛,他丝毫不懂博士所考虑的这些事。
 
    “我说的那把钥匙就藏在包匣子的报纸中。郑重其事地竟用了五张报纸,其中四张是《东京朝日》。可是您瞧,只混有一张地方报纸,是《静冈日日新闻》。这究竟意味着什么呢?”
 
    但令人遗憾的是,中村还没有理解博士的真意。他好像只是先生面前的学生,目不转睛地凝视着对方的脸。
 
    “犯人不可能是在马路上或外出的目的地切手指的,当然一定是在自己家里干的。这样的话,我想这报纸也是使用了当场现有的、犯人自己订的报纸。这样想大概不会有错吧。《东京朝日》都是昨天的展刊,只是《静冈田日》是前天的日期。由此可知,犯人无意中使用了当天读完后撂下的报纸。不是吗?关于这《静冈田日》,这要么是犯人从街头卖地方报的报童那儿买的,要么是由报社每天直接给犯人邮递送去的,所以我用放大镜检查了一下,您瞧,这里清清楚楚地有痕迹。虽然只有一点儿,但留着搞下牛皮纸的痕迹。这可是那家伙的致命伤。当然犯人是打算把它沉到河底的,所以手帕上的姓名缩写字母也保持原来的样子,牛皮纸的痕迹就完全没有注意了。所幸的是,它偶然落到了小船中,到了我的手里。任何聪明的罪犯也总有一天会被抓住尾巴的。”
 
    “啊,可不是,我这才懂了。只要查一下那《静冈田日》报社直接订购者的名簿就行了吧?”
 
    中村警部疑窦顿开,现出舒了一口气的神情。
 
    “是的。在东京订这种乡下报纸的人不会那么多的,最多也不过一二百人吧。从中找一下R-K这一缩写字母的人就行了,所以没有什么麻烦的。要是你们警方搞,大概几个小时之内就能查清这R-K的住所了吧。”
 
    “谢谢。觉得眼前霍然亮堂了。那我现在就回侦查科去部署。没什么,只要打电话委托静冈警察署办一下,R-K的住所和姓名马上就明白了。”
 
    中村警部满面生辉,已经从椅子上站了起来。
 
    “那么这物证就请保存在您那儿。一旦知道犯人的住所,最好也请您告诉我一下。”
 
    “当然告诉你。那么,事情得赶紧办,我这就……”
 
    中村侦查股长一接过博士替他用牛皮纸包好的物证,立即匆匆忙忙离开了事务所。

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