その無電をうけたハヤブサ丸では、ちゃんと用意をしてまっていた、ひとりの潜水夫を、すぐに大洋丸へと、もぐらせました。いちばん、うでききの潜水夫です。
右手に鉄棒、左手に水中電灯をさげた潜水夫は、一度はいったことのある船室へと、ハッチをくだっていきました。鉄の人魚はにげさったというのですから、なにもこわいものはありません。金塊のありかさえ、さがしだせばよいのです。
水中電灯をふりてらしながら、広い船室の中をあちこち見まわっていますと、一方の壁に、大きな四角な穴があいているのに気づきました。「おやっ。」と思って、よく見ると、貝がらがいっぱいついていて、よく見わけられなかったのですが、そこにドアがあって、それがひらいていたのです。
ひとりでにひらくわけはありません。何者かが、じぶんよりさきにきてドアをひらいたのです。潜水夫はそこまで考えると、ギョッとして、たちすくんでしまいました。鉄の人魚は、もういないはずです。では、何者がひらいたのでしょう。
それとも、もしかしたら、怪物団のやつが、ここをひらいて、とっくに金塊をぬすみだしてしまったのではないでしょうか。いずれにしても一大事です。かれはそれをたしかめるために、電灯をふりかざして、そっと、ドアのむこうを、のぞいて見ました。
すると、その小さい部屋の中に、ぼんやりと光っているものがあるのです。水中電灯が、部屋の床においてあるのです。ハッとして、なおよくみると、おお、そこには、じつに気味のわるいへんなやつが、うごめいていたではありませんか。
そいつは人間のかたちをしていました。しかし、ふつうの人間ではありません。からだじゅうに、太いまっ黒なしまがあるのです。白黒ダンダラぞめの怪物です。美しいしまのあるタイがいますね。あれとそっくりのダンダラぞめの怪人です。
顔は人間ですが、まるでゴリラみたいな、おそろしいやつです。その顔が、ガラスでもかぶせたように、ギラギラ光って、それから、頭のうしろに、まっ黒なギザギザのトサカみたいなものがついているのです。足の先にはアザラシのヒレのような大きな水かきがついています。
その怪物が、ひとつの木の箱を、こわきにかかえて、ひょいとこちらをむきました。そのうしろの、壁ぎわには、おなじような木箱が、うすだかくつんであります。
「ああ、わかった。金塊はここにあったのだ。この木の箱にいれて、ここにつんであったのだ。」
潜水夫は、とっさに、それをさとりました。ダンダラぞめの怪物は、やっぱり金塊どろぼうだったのです。潜水夫は潜水カブトの中の電話口にむかって、どなりました。
「金塊どろぼうを見つけました。ダンダラぞめの怪物です。ひっとらえてやります。すぐ応援をよこしてください。」
そうどなっておいて、かれはいきなり、ダンダラ怪人に、つかみかかっていきました。
海底魔术师-长着条形花纹的怪人(2)
日期:2021-09-08 23:51 点击:257
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