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少年侦探团-四个谜团(2)
日期:2021-09-17 23:58  点击:313
 こんどの犯罪の目的は、篠崎家の宝石をぬすみだすことと、緑ちゃんという女の子をかどわかすことなんだが、黒い魔物がほうぼうにあらわれて、新聞に書かれたりすれば、わたしは、こんなまっ黒な人種ですよ、ご用心なさいと、まるで相手に警戒させるようなものじゃないか。
 それから、まだあるよ。黒い魔物はだんだん篠崎家に近づいてきて、そこでも、いろいろと見せびらかすようなまねをしている。そして、人ちがいをして、ふたりまで、よその女の子をかどわかしかけている。
 宝石が篠崎家にあるということを、ちゃんと見とおして、わざわざインドから出かけてくるほどの用意周到(よういしゅうとう)な犯人に、そんな手ぬかりがあるものだろうか。緑ちゃんという女の子が、どんな顔をしているかくらい、まえもって調べがついていそうなものじゃないか。
 小林君、きみは、こういうような点が、なんとなくへんだとは思わないかね。つじつまがあわないとは思わぬかね。」
「ええ、ぼくは、今までそんなこと少しも考えてませんでしたけれど、ほんとうにへんですね。あいつは、わたしはこういうインド人です。こういう人さらいをしますといって、自分を広告していたようなものですね。」
 小林君は、はじめてそこへ気がついて、びっくりしたような顔をして、先生を見あげました。
「そうだろう。犯人はふつうならば、できるだけかくすべきことがらを、これ見よがしに広告しているじゃないか。小林君、この意味がわかるかね。」
 探偵はそういって、みょうな微笑(びしょう)をうかべましたが、小林君には、先生の考えていらっしゃることが、少しもわからぬものですから、その微笑が、なんとなくうすきみ悪くさえ感じられました。
「第二には、インド人が忍術使いのように消えうせたというふしぎだ。一度は養源寺の墓地で、一度は篠崎家の庭で、それからもう一度は世田谷の洋館で。これはもう、きみもよく知っていることだね。あの晩、洋館のまわりには、六人の少年探偵団の子どもが見はっていたというが、その見はりは、たしかだったのだろうね。うっかり見のがすようなことはなかっただろうね。」
「それは桂君が、けっして手ぬかりはなかったといっています。みんな小学生ですけれど、なかなかしっかりした人たちですから、ぼくも信用していいと思います。」
「表門のみはりをしたのは、なんという子どもだったの。」
「桂君と、もうひとり小原君っていうのです。」
「ふたりもいたんだね。それで、そのふたりは、春木という洋館の主人が帰ってくるのを見たといっていたかね。」
「先生、そうです。ぼく、ふしぎでたまらないのです。ふたりは春木さんの帰ってくるのを見なかったというのですよ。みんなは、まだインド人が二階にいるあいだに、それぞれ見はりの部署についたのですから、春木さんが帰ってきたのは、それよりあとにちがいありません。だから、どうしても桂君たちの目の前を通らなければならなかったのです。まさか主人が裏口から帰るはずはありませんね。しかも、その裏口を見はっていた団員も、だれも通らなかったといっているのです。」
「フーン、だんだんおもしろくなってくるね。きみはそのふしぎを、どう解釈しているの? 警察の人に話さなかったの?」
「それは桂君が中村さんに話したのだそうです。でも、中村さんは信用しないのですよ。ふたりのインド人が逃げだすのさえ見のがしたのだから、春木さんのはいってくるのを気づかなかったのはむりもないって。子どもたちのいうことなんか、あてにならないと思っているのですよ。」
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