日语学习网
宇宙怪人-宇宙怪人的末日(02)
日期:2021-10-02 01:08  点击:235
「その人たちを、かくしてある場所を、発見したのだ。麹町(こうじまち)に、草ぼうぼうの焼けあとが、まだそのままで残っている。その広っぱのまんなかに、こわれたレンガづくりの家がある。そこの地下室に、さらわれたほうもつや学者たちが、とじこめられていた。ぼくはそれをすくい出した。番をしていた悪ものは、警察にひきわたした。虎井博士、ふしぎなことには、そのなかに、ほんとうの虎井博士もまじっていたんだよ。虎井博士が、ふたりになった。ハハハ……じつにおもしろいね。
 それから、アメリカの宇宙怪人だが、これは二日まえに、アメリカから日本の警視総監にあてて、ながい電報がとどいた。アメリカでも宇宙怪人がとらえられ、正体をあばかれたのだ。政府はそれを新聞やラジオで発表しないように、てはいした。そうしておいて、ぼくはこんや、ここへやってきたのだ。」
 それをきいた虎井博士は、タジタジとあとじさりをして、なんともいえない、おそろしい形相(ぎょうそう)になりました。ひたいに青い血管がふくれあがり、顔はむらさき色になり、こぶしをにぎって、いまにも、つかみかからんばかりです。
 すると、へやの中にいた八人の警官が、すばやく博士のまわりを、とりかこみ、いざといえば、とりおさえる用意をしました。
「ぼくにいわせてください。ぼくがなぜ、悪人のみかたをしたか、それをいわせてください。」
 北村青年が、部屋のまんなかにとび出して、さけびました。すると、虎井博士が、その声を消してしまうような、大きな声で、なにかわめき出すのでした。
「いや、おれがいう。おれにいわせろ……。だが、そのまえに明智先生、宇宙怪人にばけた悪ものが、どこにいるか、それをきこう。さあ、えんりょなくいってみたまえ。」
「いまさら、いうまでもない。きみがその悪ものだ。」明智がするどくいいはなちました。
「で、証拠は?」
「ここにいるモグリの名人の漁師は、たしかに、きみにたのまれたといっている。」
「そうです。この人に五万円もらって、たのまれたです。その五万円はここに持っている。いつでもかえしますだ。」
 漁師は一歩まえに出て、博士をにらみつけました。
「北村君、きみは博士のほんとうの名を知っているはずだね。」
 明智がいいますと、北村青年は待ちかまえていたように答えました。
「知っています。」
「その名をいってみたまえ。」
 すると、北村はツカツカと虎井博士のまえにすすみよって、博士の顔を、まっこうから指さしながら、さけびました。
「この人は怪人二十面相です!」
 ああ、虎井博士が怪人二十面相! 潜航艇でおっかけた博士の方が、じつは宇宙怪人にばけていた二十面相だったとは! 思いもよらぬことのなりゆきに、部屋にいたおおぜいの人々は、あっけにとられて、博士のすがたを見つめたまま、シーンとしずまりかえってしまいました。
「もう一つの名は怪人四十面相だったね。きみが、またしても、かえだまをつかって脱獄したことまで、ちゃんとしらべがついているんだ。それにしても、宇宙怪人とは、思いきった芸当をやったものだね。これについては、きみにも、なにかいいぶんがあるだろう。それをきこう。」
 明智がりんとした声で、せんこくをあたえました。すると、虎井博士の怪人四十面相は、八人の警官を、かきわけるようにして、まえにすすみ出て、まるで演説でもするように、しゃべりはじめました。


分享到:

顶部
11/28 10:49