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透明怪人-BD徽章
日期:2021-11-13 23:48  点击:335


(ビー)
(デー)バッジ


 お話かわって、こちらは小林団長をはじめ、少年探偵団の少年たちです。大友君が洞窟(どうくつ)のとりことなった夜のあくる日、少年たちは、学校からかえると、すぐに、島田少年のおうちにあつまってきました。
 警察の人たちは、ゆうべおそくまで、ゆくえ不明になった大友君を、さがしましたが、夜ふけのことではあり、ついにみつかりませんでした。それで、中村捜査係長たちはひとまず警視庁にひきあげ、そこの一室に透明怪人捜査本部をもうけて、東京全都にわたる、大がかりな活動をはじめたのです。黒川記者も、警視庁の記者クラブにつめきって、たえず捜査本部に顔をだしていました。
 しかし、少年探偵団の少年たちには、透明怪人をとらえることよりも、さしあたって、副団長の大友君の身のうえがしんぱいです。なんとしてでも、大友君をさがしださねばなりません。そこで、少年たちは警察にまかせておかないで、自分たちの手で、副団長のゆくえを、つきとめようと決心したのです。
 小林団長は、島田少年のうちで電話をかりて、電話のある、団員たちに、指令をあたえ、それぞれ近所の団員に、つたえさせるというやりかたで、たちまち六人の少年が、島田邸にかけつけることになりました。
 一時間ほどで、すっかり人数がそろったので、小林君は、あわせて十人の少年を五組にわけ、島田邸を出発点として、五つのちがった道を、捜索させることにしました。
(ビー)(デー)バッジをさがすんだよ。大友君はきっと、あれを使ったにちがいない、あれさえみつければ、もう、しめたものだ。」
 小林団長は出発する少年たちに、そういう注意をあたえました。BDバッジとは、いったいなんでしょうか。それは、やがて、わかります。一組の少年が、まもなく、そのバッジをみつけるのです。
 第一班から第五班までにわけた少年捜索隊の、第二班にあたったふたりの少年が、ぐうぜんにも、ゆうべ、透明怪人の自動車が、はしりさった方角を、うけもつことになりました。
 しかし、少年たちは、そんなことは、すこしも知らないのですから、ただ、あてずっぽうに、足のむくほうへと、あるいてゆきました。ひとりは町の右がわを、ひとりは左がわを、というふうに、手わけをして、キョロキョロあたりを見まわし、ことに、地面には、するどい目をそそぎながら、すすむのです。
 町かどをいくつもまがって、一キロほどあるいたとき、右がわの少年が、とつぜん、ハッとしたように立ちどまりました。すぐ目の前の地面に、小さな銀色に光ったものが、落ちていたからです。
 少年は、そこにしゃがんで、手ばやく銀色のものを、ひろいあげ、左がわにいたともだちを、手まねきしました。
「やっぱり、そうだったよ。これBDバッジだよ。」
「ウン、そうだ。これとおなじだね。」
 少年のひとりは、ポケットから、銀色のバッジをとりだして、くらべて見ました。たしかに、BDバッジです。
「すてきだ。これで大友君のゆくえがわかるね。」
 少年たちの顔に、いきいきしたよろこびの色が、浮かんできました。
 ここで、ちょっと、BDバッジの説明をしなければなりません。『少年探偵団』という本に、このバッジのことが、くわしく書いてあるのですが、それは少年探偵団員の記章なのです。BDというのは、「少年」と「探偵」にあたる英語のかしら文字をとって、そのBとDとを、もようみたいに組みあわせ、記章の図案にしたことから、名づけられたのです。
 このBDバッジには、団員のしるしというほかに、いろいろなつかいみちがありました。まず第一に、それは重い鉛でできているので、ふだん、それをたくさんポケットに入れておけば、いざというときの、石つぶてのかわりになる。第二には、敵のすみかに、とじこめられたようなとき、バッジのうらのやわらかい鉛の面に、ナイフで字を書いて、窓や塀のそとへなげて、通信をすることができる。第三には、バッジのうちの針に、糸をむすびつけて、水の深さをはかることができる。第四には、てごめになって、どこかへ、つれさられるようなばあいに、このバッジを、道におとしておけば、方向を知らせる目じるしになる。そのほか、まだ、いろいろな使いみちがあるのです。
 団員たちは、このバッジを、学生服の胸のうちがわにつけて、何かのおりには、そこをひらいて見せて、団員であることを、知らせあうのですが、そのほかに、団員たちのポケットには、二十個から三十個ぐらいのバッジが、いつでも、よういしてあるのでした。
 大友君は、透明怪人の自動車の屋根に、身をふせているあいだに、町かどをまがるたびに、ポケットから、BDバッジを一つずつ、とりだして、道におとしておいたのです。いま二人の少年が、みつけたのは、それの一つにちがいありません。
 ふたりはそれから、目をさらのようにして、地面ばかり、にらみつけて、すすみました。町かどへくるたびに、ふたりが手わけをして、べつべつの方向にはしりだし、バッジをみつけると、口笛をふいて、もうひとりを呼びよせ、いっしょになって、その道をすすんでいくのです。そして、バッジからバッジへとたどっていくうちに、とうとう、あの焼けあとの原っぱに出ました。
「へんだね。こんな広い原っぱへ来てしまったぜ。」
「きっと、この原っぱに、何か、ひみつがあるんだな。ごらん、あすこにもバッジがおちている。大友君のいるところは、もう遠くはないようだね。」
 そして、そのバッジの落ちている場所まですすむと、また、むこうの草の中に、銀色に光るものが、見えました。
「おお、あすこにもある。」「ここにもおちていた。」と、むちゅうになって、バッジをひろいながら、あるいているうちに、少年たちは、ついに、あの防空ごうの入り口にたっしたのです。
 草におおわれた、防空ごうの入り口を発見したとき、ふたりの少年は、なんだかゾーッとして、思わず顔を見あわせました。
「ホラ、ここに、こんなにバッジがおちている、大友君はこの穴の中へ、つれこまれたのに、ちがいないよ。」
 ひとりが、五つ六つ、かたまって、おちているバッジを指さしながら、ささやき声で、言いました。穴の中のくらやみには、何者がいるかわかりません。うっかり大きな声は、だせないのです。
「よしここにきまった。ぼくはそのへんにかくれて見はっているから、きみは近くの電話をかりて、小林団長に知らせてくれたまえ。ぼくたちだけで、この穴の中へはいっては、しっぱいするかもしれない。やっぱり、団長から中村捜査係長に知らせてもらうほうがいい。」
 この少年は、大友君よりも、用心ぶかかったのです。かれは近くのくさむらに、身をすくめて、洞窟の入り口を見はりました。もうひとりの少年は、電話をかりるために、町のほうへ、矢のように、はしりだしました。


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