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灰色巨人-寻找侏儒
日期:2021-11-28 23:57  点击:300

怪物のゆくえ


 ちょうどそのとき、園井さんの広いおうちのへいの外では、またべつの、おそろしいできごとがおこっていました。
 小林団長のひきいる八人の少年探偵団は、四人ずつ、ふたくみにわかれて、園井家のへいのまわりを巡回していました。
 もう夜の八時ごろでした。空がくもって星も見えない、まっ暗なばんでした。そのへんは、さびしいやしきまちで、高いへいばかりがつづいています。人どおりも、まったくありません。町のところどころに立っている街灯の光が、あたりをぼんやりと、てらしているばかりです。
 小林君がさきにたって、そのあとから、園井少年と、ほかのふたりがつづいています。ほかのふたりも中学の一年生です。
「おい、とまれ! なにかいる。あれをごらん。」
 小林君が、むこうのコンクリートべいの上を、ゆびさしました。それは園井君のおうちのへいです。へいの上から、大きな木の枝が、ニューッと、つきだしています。その枝が、ざわざわと動いているのです。
 風にゆれているのではありません。なにかが、その枝にとまっているのです。遠くの街灯の光で、かすかにそれが見わけられます。
 サルのような動物です。いや、サルではありません。人間の子どもです。こんな暗いばんに、子どもが木のぼりをしているのでしょうか。
 大きな枝が、ピーンとはねました。子どもがとびおりたのです。おやっ、子どもにしては、なんて大きな頭でしょう。頭でっかちの福助(ふくすけ)みたいなやつです。黒い四角なふろしきづつみのようなものを、首にくくりつけています。そして、その小さなやつは、いきなり、むこうのほうへ、チョコチョコと走りだしました。
「あっ、一寸法師だっ。」
 小林団長と園井君とは、すぐそれに気がつきました。
 首にさげている黒いふろしきづつみは、いったいなんでしょう? ひょっとしたら、あの中に、にじの宝冠が、つつんであるのではないでしょうか。一寸法師が、それをぬすみだしたのでは、ないでしょうか。
「おい、あいつを、追っかけるんだ。あいてに、きづかれぬように。」
 小林団長が、めいれいをくだしました。
 やみ夜のついせきです。にげるのは、頭でっかちの一寸法師。ちびのくせに、なんという早さでしょう。チョコチョコ、チョコチョコ、みじかい足が、まるで、機械のように動くのです。
 探偵団の少年たちは、みんなのっぽですから、足の長さは一寸法師のばいもあります。それでいて、なかなか追いつけないのです。四人の少年は、いきをきらせて走りつづけました。
 一寸法師は、にぎやかな通りをさけて、さびしいほうへ、さびしいほうへと走っていきます。おとなの人が通ったら呼びかけて、つかまえてもらおうと思うのですが、あいにく、だれも通りかかりません。
 まっ暗な大きな森がありました。神社の森です。一寸法師はその中へ、逃げこみました。
 さあ、たいへんです。神社の中はひろびろしていて、そこに大きな木が、いっぱい茂っています。どこにでも、かくれるところがあります。
 少年たちは、その広い境内(けいだい)を、あちこちと、さがしまわりました。しかし、一寸法師は、どこにもいないのです。あいつは、木のぼりが、うまいようですから、ひょっとしたら、大きな木にのぼって、かくれているのかもしれません。しかし、何十本とある木を、一本ずつのぼって、さがすことなど、とてもできません。もうあきらめるほかはないのでしょう。
「だが、もしかしたら、境内を通りぬけて、神社のうらのほうへ逃げたかもしれない。そっちをさがしてみよう。」
 小林団長は、そういって、さきにたって、うらの道へ出ていきました。
 神社のうらは、広い原っぱでした。むこうに、大きなテントが、はってあります。サーカスのテントです。
 四人はそのほうへ行ってみました。テントの正面には、明るく電灯がついて、二とうのゾウと、たくさんのウマがつないであります。
 入り口のだいの上に、赤いしまの服をきた人がすわって、ばんをしていました。
「おじさん。いま、ここへ、一寸法師が、こなかった?」
 小林君がたずねました。
「なんだって? 一寸法師だって?」
 赤い服の男が、びっくりしたように、少年たちを見おろしました。
「こびとだよ。頭がでっかくて、子どもみたいに小さいやつだよ。神社のほうから、かけだしてこなかった?」
「ふうん、このへんに、そんなやつがいるのかい。見なかったよ。もうこんやは、おしまいだから、おもてに立っているお客もなかったので、見のがすはずはない。そんなやつ、ここへはこなかったよ。」
 その男は、高いだいの上にすわっているのですから、もし一寸法師が通れば、目につかぬはずはないのです。それでは、やっぱり、まだ神社の境内に、かくれているのでしょうか。
 どうしようかと、まよっているうちに、ちょうどサーカスがおわりになって、入口から、見物の人たちが、どやどやと出てきました。
 四人の少年は、そこに、つったって、おおぜいの人たちが、通りすぎるのを見ていました。もしや、その見物人の中に、一寸法師がいるのではないかと、目をさらのようにしていましたが、子どもはいても一寸法師はいませんでした。
 園井少年は、まだ、あきらめきれないで、入口にちかよって、見物人の出ていったあとの、テントの中をのぞいていますと、だいの上の男が、大きな声でどなりつけました。
「なにを、のぞいているんだ。もう、見物人は、すっかり出てしまったよ。そんな一寸法師なんか、こんなとこに、いるもんか。さあ、かえった、かえった。」
 しかたがないので、四人の少年は、そこをひきあげることにしました。そして、もう一度、神社の中をさがしましたが、やっぱり、なにも見つけることはできませんでした。
「あっ、しまった。」
 小林団長が、びっくりするような声を、たてました。
「どうしたの? 団長」
 ひとりの少年が、ふりむいて、たずねました。
「ぼく、すっかり、わすれていた。サーカスには、よく一寸法師の道化者(どうけもの)がいるね。あのサーカスにも、一寸法師がいるんじゃないかしら。だからさ、ぼくらが、おっかけたやつは、あのサーカスの団員じゃないだろうか。」
 小林君は、そういって、考えこんでしまいました。
 一寸法師は、はたして、このサーカスのなかに、かくれていたのでしょうか。もしそうだとすれば、怪盗「灰色の巨人」と、このサーカスとは、どんなつながりがあるのでしょう。


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12/01 07:24