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夜光人-幽灵怪人
日期:2022-01-09 23:43  点击:235

幽霊怪人


 そのベレー帽の男は、近くにすんでいる榎本(えのもと)という洋画家でしたが、表通りを歩いていますと、明智探偵事務所の窓から、青白く光るひとだまのようなものが、スウッと飛びだして、屋根のほうへのぼっていくのに気づいたのです。
 その表通りには、夜ふけでもちらほらと人通りがありましたが、だれも上のほうを見ていなかったので、気がつかなかったのです。ただ、画家だけが、それを見たのです。
 はじめは、ほんとうのひとだまかと思いましたが、スウッと、空へのぼっていくのをよく見ますと、青白く光ったまるいものに、まっ赤な大きな目が、かがやいていますし、耳までさけた口が、火のようにもえているのがわかりました。
 画家の榎本さんは、夜光人間のことを新聞で読んでいましたので、この光る首は夜光人間にちがいないと思い、いそいで、うちの中へかけこんで、そのことを知らせたのです。
 そこで、おまわりさんたちは、すぐに表に出て、屋根を見あげましたが、もうそのときには、光る首はどこにも見えませんでした。
 夜光人間は幽霊のように、じゆうじざいに飛びまわるやつですが、やっぱり人間にはちがいないのですから、なにか、しかけがなくては、空へのぼれるわけがありません。
 きっと、なかまのやつが、屋根の上にかくれていたのです。そして、ほそくて丈夫なひもを、屋根から明智事務所の窓のそとへたらしていたのです。
 光る首ばかりを見せた夜光怪人は、そのひもにつかまって、窓のそとへ出たのでしょう。それを、なかまのやつが、屋根の上へ、ずるずると引きあげ、そのまま、ふたりは、屋根づたいに、どこかへ、逃げてしまったのにちがいありません。


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