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带电人M-本末倒置
日期:2022-01-30 14:19  点击:271

さかさまロボット


 警察がやってきたので、たちまち、このことが新聞記者の耳にはいり、その夜おそく、長島君のうちは、新聞記者攻めにあいました。火星人を見たのは長島君だけですから、新聞記者にとりかこまれて、うるさくたずねられたのです。
 そして、あくる日の新聞には、このふしぎなできごとが、でかでかとのりました。日本じゅうの人が、それをよみました。そして、そのうわさで、もちきりなのです。
 火星人は長島君の家にあらわれたばかりではありません。それからというもの、毎日のように、東京の方ぼうに、姿をあらわし、そのたびに、あの、「月世界旅行をしましょう」という紙きれを、おいていくのです。
 ところが、それからしばらくすると、火星人とはべつに、もう一つのぶきみな事件が起こりました。そして、その事件にはじめて出くわしたのが、やっぱり少年探偵団の三少年のひとり、有田君でした。
 有田君も港区にすんでいたのですが、ある夕方、ひとりで、さみしいやしき町を歩いていました。ながいコンクリート(べい)ばかりつづいた、人通りのない町です。
 ふと気がつくと、百メートルも向こうから、まっ黒なからだの、へんなやつが、近づいてくるのです。
 だんだん近よるにしたがって、そいつの姿が、はっきりしてきました。
 ロボットのようなやつです。しかし、こんなへんてこなロボットは、まだ、いちども見たことがありません。
 胴体(どうたい)も、手も、足も、黒い鉄の輪が、何十となく、かさなりあったような形をしています。ですから、鉄でできていても、自由自在に、()がるらしいのです。大きな鉄の(くつ)をはいています。そのでっかい足で、ギリギリギリ、ドシン、ギリギリギリ、ドシンと、歩いてくるのです。ギリギリというのは、からだの中で、歯車でもまわっているような音です。
 顔は、まるいプラスチックで、人間の三倍もあり、すきとおって見えるのです。その中には、へんてこな機械のようなものばかりで、目も鼻も口もありません。つまり、顔のない機械人間なのです。
 目はないけれども、二つの赤い光が、チカッ、チカッと、ついたり、きえたりしています。それが、ちょうど目のように見えるのです。お化けのまっ赤な目です。
 そのほか、プラスチックの顔の中には、ゴチャゴチャと、機械がならんでいて、それがみな、いそがしそうに動いています。うすい金属でできた羽のようなものが、目にもとまらぬ(はや)さでまわっているのも見えます。
 有田少年は、さっきから、ポストのかげにかくれていました。そこから、相手に気づかれないように、そっと、のぞいていたのです。
 怪物は、もう十メートルほどに、近よってきました。そして、なにか、ものを言っています。はじめは、ガアガアいう音ばかりで、よく聞きとれませんでしたが、やがて、はっきりした声になりました。
「そこに、子どもがかくれているな。ポストのうしろだ。かくれたって、だめだよ。おれには、どんな厚いかべだって、すきとおって見えるんだからな。ワハハハハ……。」
 ロボットは、そんなことを言って笑いだしました。中に人間がはいっているのかもしれません。
 有田君は、びっくりして、いきなり逃げだしましたが、五―六歩走ったかとおもうと、動けなくなってしまいました。
 なにか目に見えないものに、ひっぱられているような感じで、逃げようとすればするほど、ぎゃくに、ロボットの方へ、ひっぱられていくのです。
「どうだ。おれは目に見えないひもで、きみをひっぱっているのだ。そのひもで、きみをしばってしまうことだってできるんだよ。」
 いかにも、目に見えないひもで、ひっぱられている感じでした。
 有田君は、そのひもからのがれるために、めちゃくちゃに手をふって、あばれまわりましたが、どうしてもだめです。一歩も逃げだすことはできないのです。
「そらっ、ひもが離れた。かけだせ。そして、みんなを呼んでこい。おれは、相手が多ければ多いほど、ありがたいのだ。」
 ロボットが、あたりにひびきわたるような声で、どなりました。
 たしかに、目に見えぬひもがとかれたのでしょう。有田君は自由にかけだすことができました。
 有田君は、商店のならんでいる大通りへかけつけて、赤電話で一一〇番を呼びだし、ロボットがあらわれたことを知らせました。
 それから、三分もたつと、三台のパトロール・カーがサイレンを鳴らしながら、ロボットのいるところへ、かけつけてきました。
 そのころには、近所の人たちも、大ぜい集まってきて、黒山の人だかりです。
 ロボットは、警官たちや近所の人たちにとりかこまれて、もとの場所につっ立っているのです。
 警官たちは、ピストルを手にしていました。なにしろ相手は、目に見えぬひもをくりだして、こっちをしばるようなやつです。武器をもたないで、手向かうことはできません。
「ワハハハハ……、大ぜい集まってきたな。さあ、おれをつかまえてみろ。勇気があったら、やってこい。」
 怪物が人をばかにしたように、わめくのです。
 三人の警官が、体あたりで、怪物にぶっつかっていきましたが、たちまち、はねとばされてしまいました。
「きさま、うつぞっ、ピストルがこわくないのか。」
「ワハハハハ……、ピストルなんか、こわくてどうする。うつなら、うってみろ。」
 バーンと、ピストルが発射されました。たまは、たしかに怪物に命中したのです。しかし、ロボットは平気です。やっぱり大きな声で笑っているのです。
「よし、たまのあるだけ、ぶっぱなせっ!」
 (おも)だった警官が、命令するようにさけびました。五人の警官が、ピストルの銃口をそろえて、ねらいをさだめました。
 バン、バン、バン、バーン……。
 五丁のピストルが、火をはきました。
 しかし、こんどは一発も、当たりません。
 その瞬間に、ロボットが、パッと、空中たかく、とびあがったからです。
 地面には大きな鉄の靴が残っていました。ロボットは、重い靴をぬいで、とびあがったのです。見物たちのあいだに、ワーッという、ざわめきが起こりました。
 ロボットは、そのまま、グングン空へのぼっていくではありませんか。
 こいつもやっぱり、どこかの星からやってきた宇宙人なのでしょうか。地球の人間とはちがって自由自在に、空がとべるのでしょうか。
 ヘリコプターのように、プロペラがついているのかと思いましたが、そんなものはついていないのです。ただ自分の力だけで、フワフワと空中へのぼっていくのです。
 また、人びとの口から、ワーッという声がひびきました。
 おお、ごらんなさい。怪ロボットは、空中で、クルッと、ひっくりかえって、頭が下に、足が上になりました。そして、そのさかさまの形で、どこまでも、空たかくのぼっていくのです。
 だんだん、小さくなっていきます。子どもぐらいの大きさになり、赤ちゃんぐらいの大きさになり、おもちゃの人形ぐらいの大きさになり、そして、とうとう、雲の中へかくれて、見えなくなってしまいました。
「おやっ、これはなんだろう。」
 ひとりの警官が、ロボットの靴のそばにおちていた一枚の紙きれを拾いあげました。
 その紙きれには、

带电人M图片3

と、活字で印刷してあったのです。火星人がのこしていった紙きれと同じです。火星人と、いまのロボットとは、仲間なのでしょうか。
 火星人と怪ロボットは、いったい、なんのために、東京にあらわれたのでしょう。
 そして、「月世界旅行をしましょう」とは、なにを意味するのでしょう。


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