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带电人M-轿车跟踪
日期:2022-01-30 14:19  点击:268

研究室の怪


 そのあくる日の朝早く、治郎君は庭に出て、外から、窓ガラスを調べてみましたが、すると、あのふしぎのわけがわかりました。怪人はいつのまにか、そのガラスに、接着剤で大きなMの字を書いておいたのです。それに木の葉がたくさん、くっついたというわけでした。
 わかってみれば、なんでもないことですが、あの恐ろしい電人Mが、庭にしのびこんで、そんなことをやったかと思うと、やっぱりきみが悪いのです。
 治郎君は、その日、学校へいって、同級の親友、森田もりた君に、このことを話しました。すると、森田君は少年探偵団員だったので、すぐに、こう答えました。
「明智先生に相談するといい。その前に、ぼくらの団長の小林さんに話そう。きっといい考えがあるよ。」
 そして、学校が終わると森田君は遠藤治郎少年を連れて、麹町こうじまちの明智探偵事務所を訪ねました。
 明智先生は留守でしたが、小林少年は事務所にいて、こころよく、相談にのってくれました。
「電人Mなら、ぼくはよく知ってるよ。いつか、あいつに日本橋のMビルへ呼びだされたことがある。そして、自動車で、月世界旅行の見世物のところまで追跡したんだよ。あのとき、ぼくは電人Mというのは見世物の広告に使われているのだと思ったが、やっぱり、そうじゃなかったんだね。あの月世界の見世物にだって、どんなたくらみがあるか、しれたもんじゃないよ。
 電人Mは、きみのおとうさんの秘密を手に入れるために、きみをかどわかすつもりかもしれない。よしっ、ぼくたちがきみを守ってあげよう。
 今夜にも、なにか起こるかもしれない。ぼくは森田君といっしょに、アケチ一号の自動車に乗って、きみの家の回りを守ってあげるよ。いざというときには、無電でパトロール・カーを呼ぶから、だいじょうぶだ。なにか起こっても、きっときみを助けてみせるよ。」
 小林少年は、たのもしげに、約束するのでした。
 さて、その晩のことです。遠藤博士邸に、またしても、ふしぎなことが起こりました。
 もう九時を過ぎていました。研究室にじこもっている遠藤博士が、ちょっと茶の間へ行って、お茶をのんで、ひと休みしてから、また研究室へもどるために、廊下を歩いていますと、助手の木村青年と行きあいました。
 木村助手は博士を見ると、びっくりしたように、たちどまって、
「あっ、先生、研究室にいらっしゃったのではないのですか。」
と、たずねるのです。
「ちょっと、茶の間へ行っていた。いま研究室へもどるところだ。」
 それを聞くと、木村助手はいよいよ、へんな顔をしました。
「おかしいなあ。先生は、いましがた、治郎さんを研究室へ呼んでくれとおっしゃって、ぼくが治郎さんをつれていったばかりですよ。先生が研究室にいらっしゃらなかったとすると、あんな命令をしたのは、だれでしょう?」
「きみは、わしの顔を見たのかね。」
「いいえ、声を聞いたばかりです。ドアをちょっと開いて、中からぼくの部屋へ声をかけられたのです。ですから、先生の顔を見たわけじゃありません。」
「そりゃ、おかしい。すぐにいってみよう。わしは治郎を呼んでこいなどと言ったおぼえはないのだ。」
 ふたりは、大急ぎで、研究室の前にかけつけて、ドアを開こうとしましたが、中からかぎがかかっていて開きません。そして、部屋の中からは、治郎君のけたたましい声が聞こえてくるではありませんか。
「いやだっ。きみなんかと、いっしょに行くのは、いやだっ。」
「なんといってもだめだぞ。おれはおまえをつれていくのだ。」
 それは、あの聞きおぼえのある、機械のきしるような声でした。電人Mです。電人Mがいつのまにか、研究室にはいって、治郎君をどこかへ連れ去ろうとしているのです。
「だれかきてください。……助けてえ……。」
 治郎君のさけび声です。もう、一刻いっこく猶予ゆうよはできません。
 博士はからだごと、ドアにぶっつかっていきました。二度、三度、ドシンドシンと、ぶっつかっているうちに、ギギギ……と音がして、ちょうつがいがはずれ、ドアがななめ向こうにたおれて、人のはいる隙間すきまができました。
 とびこんでみると、おやっ! 部屋の中はからっぽです。窓の鉄格子も、ちゃんとはまったままどこを捜しても、人間ふたりのぬけだした隙間はありません。
 あいつは、ふしぎな魔法で、消えうせたのです。自分だけでなくて、治郎君まで消してしまいました。ああ、いったい、これには、どんな秘密があるのでしょうか。

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