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怪人与少年侦探-小偷玩偶
日期:2022-02-06 23:43  点击:308


どろぼう人形


 ここは東京のまんなかにある、大きなデパートの男の洋服売り場です。時は、まよなかです。
 まよなかのデパートは、昼間のこんざつにひきかえて、ものすごいほど、静かです。
 ちん列台には、みな白いきれがかけてあるので、まるで白い墓がならんでいるようなかんじです。
 守衛(しゅえい)が二人ずつ一組になって、大きな懐中(かいちゅう)電灯をてらしながら、たえずデパートの中を、見まわっています。いま、ちょうど、二人づれの守衛が、洋服売り場へやってきました。
 売り場には、洋服のきれじなどが、いっぱいかけてあります。そのまえに、洋服をきた男の人形が、いくつも立っているのです。
 懐中電灯のまるい光が、その人形の一つの顔を、てらしました。
 はでな、しまのせびろをきた人形です。その顔は、色のついたビニールをぬったもので、できていて、目やまゆげが、黒い絵の具で、書いてあるのです。
 懐中電灯の光は、その顔を、スッと、かすめて、むこうへ、遠ざかっていきました。
 そして、二人の守衛の姿が、階段のほうへ、消えていったかとおもうと、へんなことがおこりました。
 いまの人形が、かすかに身うごきをしたのです。遠くに小さな電灯が、ついているだけで、あたりは、うすぐらいのですが、たしかに人形は、動いたようです。
 それから、もっと、みょうなことが、始まったのです。人形の手が、そっと上のほうへ、あがっていって、目のへんを、なでました。すると、人形の目がパッチリ、開いたではありませんか。目のところだけが、ふたのように開くしかけになっているらしいのです。
 その開いた、二つのあなから、のぞいているのは、生きた人間の目でした。パチパチと、まばたきをして、目の玉が、キョロキョロと、動くのです。
 人形のからだが、フラフラと、ゆれたかとおもうと、足を高く上げて、そのちん列場の、ひくいかこいを、またぎこし、そのまま、通路を歩いていくではありませんか。
 人形が歩くのです。
 やがて、人形は、階段を(あが)り始めました。うすぐらい階段を、まるで遊病者(ゆうびょうしゃ)のように、のぼっていくのです。階段を二つのぼると、そこは時計や宝石の売り場でした。
 人形は、宝石のちん列だなにかぶせてある、白いきれをまくると、ポケットから、合鍵(あいかぎ)をとりだして、あついガラスの戸をあけました。
 そして、ちん列だなの中へ、手を入れて、ダイヤのゆびわや、真珠(しんじゅ)の首かざりなどを、手あたりしだいに、つかみとると、それをみんな、自分のワイシャツの中の、腹巻きに、しまいこんでしまいました。
 この人形は、宝石どろぼうだったのです。どろぼうが人形にばけて、洋服売り場に立っていて、夜のふけるのをまって、仕事を始めたのです。
 たくさんの宝石をぬすんでしまうと、人形は階段をおりて、洋服売り場にかえり、なにくわぬ顔で、もとの場所に、立ちました。もう目のふたを、しめたとみえて、絵の具で書いた人形の目です。顔も、手も、からだも、どこから見ても、人形です。まるでかかしのように、シャンと立って身うごきもしません。


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