怪人のゆくえ
しかし、人形怪人のほうは、まだ見つかりません。そとには、見はりのおまわりさんがいるのですから、逃げだすことはできません。家の中にいるにちがいないのです。
小林少年は、井上君が、すこし元気づくのを待って、たずねてみました。
「人形怪人が、どこにかくれているか、きみには、わからないかい?」
「地下道はさがしたの?」
「地下道って?」
「マンホールへ出る地下道だよ。あすこはいりくんでいるから、いいかくれ場所だよ」
「よし、それじゃ、そこをさがそう」
小林少年が、そのことをつたえますと、中村警部が十人ほどのおまわりさんをつれて、地下道へ、ふみこんでいくことになりました。あのきみのわるいじいさんのいたへやも、へびがウジャウジャいたへやも、みんなこの地下道の中です。そのほかにも、小さいへやがいくつもあって、まるで迷路のようになっているのです。
おまわりさんたちは、てんでに、懐中電燈をてらして、その地下道へのりこんでいきました。
「あっ、あやしいやつがいたぞっ」
さきにたったおまわりさんが、さけびながら、ひとつの小べやへ、とびこんでいきました。
「それっ」というので、みんなが、そこへはいってみますと、あっ、だれもいません。さっきのおまわりさんはどこへ行ったのでしょう。迷路ですから、方々に出入口があるので、さがすのもたいへんです。
「わはははは……」
どこからか、人をばかにしたような、わらい声がひびいてきました。