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海からきた使い
日期:2022-09-01 23:23  点击:302

人間にんげんが、天国てんごくのようすを知しりたいと思おもうように、天使てんしの子供こどもらはどうかして、下界げかいの人間にんげんは、どんなような生活せいかつをしているか知しりたいと思おもうのであります。
人間にんげんは、天国てんごくへいってみることはできませんが、天使てんしは、人間にんげんの世界せかいへ、降おりてくることはできるのでありました。
「お母かあさま、どうぞ、わたしを一度ど下界げかいへやってくださいまし。」
天使てんしの子供こどもは、母親ははおやに頼たのんだのであります。けれど、お母かあさまは、容易よういにそれを、お許ゆるしになりませんでした。
なぜなら、人間にんげんは、天使てんしより野蛮やばんであったからです。そして、我わが子この身みの上うえに、どんなあやまちがないともかぎらないからでありました。
「どうぞ、お母かあさま、わたしを一度ど下界げかいへやってくださいまし。」と、幾度いくたびとなく、その小ちいさな天使てんしの一人ひとりは、お母かあさまに頼たのみました。
毎夜まいよのように、地球ちきゅうは、美うつくしく、紫色むらさきいろに空間くうかんに輝かがやいていました。そして、その地球ちきゅうには天使てんしと同おなじような姿すがたをした人間にんげんが住すんで、いろいろな、それは、天使てんしたちには、ちょっと想像そうぞうのつかない生活せいかつをしていると、聞きいたからでありました。
「それほどまでに、下界げかいへいってみたいなら、やってあげないこともないが、しかし、一度どいったなら、三年ねんは、辛抱しんぼうしてこの天国てんごくへ帰かえってきてはなりません。もし、その決心けっしんがついたなら、やってあげましょう……。」と、お母かあさまはいわれました。
美うつくしい天使てんしは、しばらく考かんがえていました。そして、ついに決心けっしんをいたしました。
「三年ねんの間あいだ、わたしは下界げかいにいって、辛抱しんぼうをいたします。そして、いろいろのものを見みたり、また、聞きいたりしてきます。」と答こたえました。
天国てんごくから、下界げかいに達たっする道みちはいくつかありました。赤あかい船ふねに乗のって、雲くもの間あいだや、波なみの間あいだを分わけてから、怖おそろしい旋風せんぷうに、体からだをまかせて二日二晩ふつかふたばんも長ながい旅たびをつづけてから、ようやく、下界げかいの海うみの上うえに静しずかに、降おりることも、その一つであれば、また、体からだを雲くもと化かしたり、鳥とりと化かしたり、露つゆと化かしたりして、下界げかいの山やまの上うえや、とがった建物たてものの屋根やねのいただきや、野原のはらなどに降おりることもできたのであります。
天使てんしは、人間にんげんの力ちからではできないことも容易よういにされたのです。だから、小ちいさなかわいらしい天使てんしが、野蛮やばんな人間にんげんの住すんでいる下界げかいへ降おりてみたいなどと思おもったのも無理むりのないことでありました。
小ちいさな天使てんしは、いつしか下界げかいに降おりて、美うつくしい少女しょうじょとなっていました。
ある秋あきの寒さむい日ひのこと、街まちはずれの大おおきな家いえの門辺かどべに立たって、家いえの内なかからもれるピアノの音おとと、いい唄声うたごえにききとれていました。あまりに、その音おとが悲かなしかったからです。故郷こきょうといえば、幾いく百千里り遠とおいかわからないからです。そして、帰かえりたいと思おもっても、いまや、そのすべすらなく、まったく途みちもなかったからであります。少女しょうじょは、どうかして、やさしい人ひとの情なさけによって救すくわれたいと思おもいました。
空そらは、時雨しぐれのきそうな模様もようでした。今朝けさがたから、街まちの中なかをさまよっていたのです。たまたまこの家いえの前まえにきて、思おもわず足あしを止とめてしばらく聞ききとれたのでした。
そのうちに、街まちには、燈火あかりがつきました。家いえのうちのピアノの音おとはやんで、唄うたの声こえもしなくなりました。けれど、哀あわれな少女しょうじょは、この家いえの前まえを去さろうとせずに、そこに立たっていました。
そのとき、りっぱな洋装ようそうをしてお嬢じょうさんが出でてきました。お嬢じょうさんはこれから、どこかへ出でかけられるようすでした。
「お姉ねえさん、わたしもいっしょにつれていってください。」と、門かどに立たっている少女しょうじょは、呼よびかけました。
お嬢じょうさんは、びっくりして振ふりかえると、そこにかわいらしい、しかし寒さむそうな、さびしそうなようすをして、少女しょうじょが自分じぶんの顔かおを見上みあげていましたので、この子供こどもは、どこの子こだろうかと、くびをかしげたが、思おもい出だせませんでした。
「どうして、私わたしがゆくところを知しっているの?」と、お嬢じょうさんはいいました。
「わたしは、お姉ねえさんが、おいでなさるところをよく知しっています。お姉ねえさんは、これから舞踏会ぶとうかいにおいでなさるのでしょう。わたしは、おじゃまをいたしませんからどうかつれていってください。わたしは、みなさんの踊おどりなさるのが見みたいのです……。」と、少女しょうじょは頼たのみました。
「いいえ、おまえさんをつれてゆくことなどはできません。はやく、お帰かえりなさい。」と、お嬢じようさんは、迷惑めいわくそうにいって、さっさとあちらへいってしまいました。
少女しょうじょは、お嬢じょうさんの行方ゆくえをうらめしそうに見送おくっていますと、お嬢じょうさんの姿すがたは、夕ゆうもやのうちに隠かくれて、消きえていってしまいました。少女しょうじょは、しかたなく、さびしい方ほうへと歩あるいてゆきました。
もう日ひは暮くれかかっていました。街まちを離はなれると、家いえの数かずがだんだん少すくなくなりました。そのとき、途みちの上うえで、ちょうど自分じぶんと同おなじ年としごろの少女しょうじょが、赤あかん坊ぼうを負おぶって、子守唄こもりうたをうたっていました。この子守唄こもりうたを聞きくと、歩あるいてきた少女しょうじょは、すっかり感心かんしんしてしまいました。
「なんという、情なさけの深ふかい唄うただろう。天国てんごくにも、これより貴とうとい唄うたを聞きいたことはない。」と、思おもいました。そして、少女しょうじょは、近ちかづくと、赤あかん坊ぼうを負おぶって、唄うたをうたっている娘むすめにやさしく問といかけたのであります。
「もう日ひが暮くれるじゃありませんか。こんなにおそくなるまで、あなたは外そとに立たって、唄うたをうたっておいでなさるのですか。」と、少女しょうじょはいいました。
赤あかん坊ぼうを負おぶっている娘むすめは、知しらない少女しょうじょではありましたが、こうやさしく問といかけられると、目めに涙なみだをためて、
「お母かあさんが病気びょうきなもんですから、乳ちちをたくさん飲のませることができないのです。なるたけ、赤あかちゃんを眠ねむらせるために、こうして、いつまでも外そとに立たって、唄うたをうたっているのです。」といいました。
少女しょうじょは、娘むすめのいうことに、深ふかく同情どうじょういたしました。
「そんなら、夜中よなかでも起おきて、あなたは唄うたをうたいなさるのですか?」
「夜中よなかでも起おきて、私わたしは、牛乳ぎゅうにゅうを飲のませたり、泣なくときは守もりをしなければなりません。」と、娘むすめは、答こたえました。
美うつくしい、やさしい少女しょうじょは、感心かんしんしてしまいました。
「わたしが、今夜こんや、あなたに代かわって赤あかちゃんの守もりをしてあげましょうか……。」と、少女しょうじょはいいました。
「ありがとうございます。母ははが、かえって気きをもみますから、どうぞお気きにかけないでください……。」と、娘むすめは答こたえました。
少女しょうじょは、しんせつが、かえって迷惑めいわくになってはいけないと思おもって立たち去さりました。
「はやく、あなたのお母かあさんのおなおりなさるように祈いのっています。」と、少女しょうじょは、立たち去さるときにいいました。
少女しょうじょが歩あるいてきますと、あとから赤あかん坊ぼうを負おぶった娘むすめが追おいかけてきました。そして、少女しょうじょを呼よび止とめました。
「あなたのお家うちはどこですか……。」
少女しょうじょは、さびしそうに、娘むすめの顔かおを見みて、微笑ほほえみながら、
「わたしの家うちは、遠とおいんですの……。」と答こたえました。
娘むすめは、聞きいてびっくりしました。
「あなたは、こんなに暗くらくなって、どうしてお家うちへお帰かえりになることができるのですか……。きたない家うちですが、今夜こんや、私わたしの家うちに泊とまっていってください。」と、娘むすめは、真心まごころをこめていいました。
「わたしのことなら、どうぞおかまいなく……。」といって、少女しょうじょは、とっとっとあちらへ去さってしまいました。
その晩ばんは、雨あめになりました。娘むすめは、うす暗ぐらい家いえのうちで、赤あかん坊ぼうの守もりをしながら、先刻さっき、前まえを通とおったやさしい少女しょうじょは、いまごろどうしたろうと思おもって、その身みの上うえを案あんじていたのです。しかし、この夜よから、お母かあさんの病気びょうきは、だんだんいいほうに向むかいました。
いつのまにか、冬ふゆがきてしまいました。
木枯こがらしの吹ふく夜よるのことです。地ちの上うえには、二、三日にち前まえに降ふった大雪おおゆきがまだ消きえずに残のこっていました。空そらには、きらきらと星ほしが、すごい雲間くもまに輝かがやいていました。
ここに憐あわれな年としとった按摩あんまがありました。毎晩まいばんのように、つえをついて、笛ふえを鳴ならしながら、町まちの中なかを歩あるいたのでした。按摩あんまは、坂さかにかかって、地ちが凍こおっているものですから、足あしをすべらしました。そのはずみに、懐中ふところの財布さいふを落おとすと、口くちが開あいて、銀貨ぎんかや、銅貨どうかがみんなあたりにころがってしまったのでした。
「あ、しまった!」と、按摩あんまはあわてて両手りょうてで地面じめんを探さがしはじめました。
指ゆびのさきは、寒さむさと、冷つめたさのために痛いたんで、石いしころであるか、土つちであるか、それとも、銅貨どうかであるかさえ判断はんだんがつかなかったのでした。通とおる人ひとたちは、わき見みもせずに、みんな寒さむいので家いえの方ほうへ急いそいでいました。また、通とおりがかりに、この有あり様さまを見みた人ひとの中なかには、拾ひろってやって、相手あいてが盲目めくらだから、かえって疑うたがわれるようなことがあってはつまらないと思おもったり、また、中なかには、自分じぶんで後あとからきて銭ぜにを拾ひろってやろうと、よくない考かんがえを抱いだいたような小僧こぞうなどもありました。
ちょうどこのとき、やさしい少女しょうじょは通とおりかかったのです。
「なんという、人間にんげんは、浅あさましい心こころをもっているのでしょうか。天国てんごくには、こんな考かんがえをもっているようなものや、薄情はくじょうなものは一人ひとりもないのに!」と思おもいました。
「おじいさん、わたしが、拾ひろってあげます。」と、少女しょうじょはいって、銀貨ぎんかや、銅貨どうかを拾ひろって、按摩あんまの財布さいふの中なかにいれてやりました。
年としとった按摩あんまは、たいへんに喜よろこびました。
「今夜こんやは、道みちが凍こおってすべりますから、出でまいかと考かんがえましたのを、出でたのでこんなめにあいました。まことにありがとうございます。」といって、幾いくたびとなく礼れいを述のべました。
やさしい少女しょうじょは、按摩あんまの手てをひいて、家うちへつれていってやりました。
家うちでは、おばあさんが、こんなに寒さむく、道みちがすべるからけがでもなければいいがと心配しんぱいしていました。そこへ、按摩あんまのおじいさんは、少女しょうじょに手てをひかれて帰かえってきました。
おばあさんは、おじいさんから、今夜こんや少女しょうじょに助たすけられた話はなしをきくと、たいそう感心かんしんして厚あつくお礼れいを申もうしました。二人ふたりは、少女しょうじょに、どうか上あがってくれといって、家うちへいれて、火ひをたいて暖あたたかにして少女しょうじょをいたわりました。
「お嬢じょうさんは、この町まちの人ひとではないようですが、お家うちはどこでいらっしゃいますか。」と、おばあさんはたずねました。
少女しょうじょは、急きゅうに、さびしそうな顔かおつきをしました。
「この世界せかいには、わたしの家いえというものはないのでございます。わたしは、まったくの独ひとりぼっちで、今日きょうはこの町まち、明日あすはあちらの村むらというふうに歩あるいています……。」と、少女しょうじょは答こたえました。
すると、おばあさんも、おじいさんもあきれた顔かおつきをしました。
「まあ、そんなら、お母かあさんも、お父とうさんもおありなさらぬのですか?」と、二人ふたりはたずねました。
「わたしのお母かあさんも、お父とうさんも、ここから遠とおい、遠とおい、歩あるいてはゆかれないところにいらっしゃいます。」と、少女しょうじょは答こたえました。
おばあさんは、うなずきました。
「二人ふたりとも、おなくなりなさったので……あなたは、孤児みなしごなんですね。」といって、独ひとりでそうきめてしまいました。
盲目めくらのおじいさんは、おばあさんのそでをひきました。
「やさしい子こでもあるし、両親りょうしんがないというのだから、幸さいわい、家うちの子こにしてはどうだな?」と、顔かおをおばあさんの方ほうに向むけて、小ちいさな声こえでいいました。
おばあさんは、じろじろと少女しょうじょのようすを見みて、孤児みなしごにしては、あまりきれいで、どことなく上品じょうひんなので、なんらかふに落おちないように小こくびを傾かたむけていました。
「そう、おまえさんのように、やすやすときめていいものですか……。」と、怒いかり声ごえを出だしていいました。
「おばあさん、よく考かんがえてみるがいい。こんな子供こどもがあったら、どれほど、家うちの役やくにたつかしれないぜ。」と、按摩あんまはいいました。
おばあさんは、なるほどとうなずきました。そこで、急きゅうに、声こえをやさしくして、少女しょうじょに向むかって、
「どこのお嬢じょうさんですか、知しりませんが、いまのお話はなしのような身みの上うえでしたら、私わたしの家うちの子こになってくださいませんか。じつは、私わたしたちは、二人ふたりぎりでさびしくてしかたがないのですから。」と、おばあさんは頼たのみました。
少女しょうじょは、遠とおい、空そらのかなたのふるさとを思おもい出だしました。いつも、ふるさとのことを思おもうと悲かなしくなりました。
「わたしは、ここの家うちの子こになってしまうことができませんけれど、すこしの間あいだでよければ、おてつだいをしてあげます。」と、少女しょうじょは答こたえました。
「そんなら、すこしの間あいだでもいいから、てつだいをしてください。」と、二人ふたりは頼たのみました。
やさしい少女しょうじょは、この日ひから、おばあさんやおじいさんのてつだいをしてしんせつに、二人ふたりのためにつくしたのです。
老人夫婦ろうじんふうふは、けっして、心こころの悪わるい人ひとではありませんでしたから、少女しょうじょは、つらいことがあっても我慢がまんをいたしました。そして、夜よるは、按摩あんまのおじいさんの手てを引ひいて町まちへもゆきました。
「おじいさん、寒さむい晩ばんですこと。」と、少女しょうじょは、歩あるきながら、おじいさんに向むかって話はなしました。
「ああ、早はやく、春はるになって、暖あたたかになってくれるといい。」と、おじいさんはいいました。
木枯こがらしが吹ふいていました。そして、星ほしの光ひかりが、ぴかぴかと、いまにも飛とびそうに空そらに光ひかっていました。少女しょうじょは、じっと、星ほしの光ひかりをながめて、ふるさとを思おもい出だしていたのであります。
春はるになりました。海うみの上うえは穏おだやかに、山やまには、木々きぎの花はなが咲さいて、野原のはらには、緑色みどりいろの草くさが芽めぐみました。ある日ひのこと、町まちの人々ひとびとは、海うみの上うえに、不思議ふしぎな景色けしきが見みえるとうわさしました。それは、蜃気楼しんきろうなのであります。
「おばあさん、海うみの上うえに、不思議ふしぎな景色けしきが見みえるといいますから、いってみましょう……。」と、少女しょうじょは、おばあさんにいいました。
「ああ、いいお天気てんきだから、おまえだけいってみておいでなさい。私わたしは年寄としよりだから、歩あるくのがたいそうです。」と、おばあさんは答こたえました。
少女しょうじょは、独ひとりで、海うみへいってみたのであります。かぎりもなく、海原うなばらは、青々あおあおとしてかすんでいました。太陽たいようの光ひかりは、うららかに、波なみの上うえを照てらしていました。町まちの人々ひとびとは、たくさん海辺うみべへ出でて沖おきの方ほうをながめていました。そのうちに、もうろうとして夢ゆめのように、影かげのように、どこの景色けしきとも知しらない、山やまや、野原のはらや、紫色むらさきいろの屋根やねなどが浮うかんで見みえたのであります。
「ああ、わたしのふるさとの景色けしきだこと。」といって、少女しょうじょは飛とび上あがりました。天国てんごくから、下界げかいへきてはや三年ねんの月日つきひがたったのであります。その間あいだにいろいろの人間にんげんの生活せいかつに触ふれてみました。しかし、いまやふるさとに帰かえるときがきたのであります。
町まちの人々ひとびとは、不思議ふしぎな景色けしきが見みえなくなると、家いえの方ほうに帰かえりましたが、少女しょうじょだけは、岩いわの上うえに立たって、沖おきの方ほうをいっしんに望のぞんでいました。そのうちに、一そうの赤あかい船ふねが、こちらをさしてこいできたのです。少女しょうじょを迎むかえにきたのでした。少女しょうじょは、それに乗のると、ふたたび天国てんごくをさして去さりました。このやさしい天使てんしは、永久えいきゅうに、この下界げかいに別わかれを告つげたのでした。
天国てんごくには、やさしい天使てんしのお母かあさんが、我わが子この帰かえるのを待まっていられました。三年ねんの間あいだ、下界げかいに苦くるしんできた子供こどもに、なんの変かわりもなければいいがと心配しんぱいしていられました。小ちいさな天使てんしは無事ぶじに、ふたたびなつかしいお母かあさんを見みることができました。お母かあさんは、やはり、心こころの美うつくしい、汚けがれない我わが子こであるとお知しりなさると、ほんとうにお喜よろこびになりました。
姉あねの天使てんしも、弟おとうとの天使てんしも、みんなが下界げかいの有あり様さまを知しろうと、このやさしい天使てんしを取とり囲かこんでお話はなしを伺うかがいました。小ちいさなやさしい天使てんしは、下界げかいで見みたことと知しったことを語かたりました。そして、正直しょうじきな、哀あわれな人ひとたちに、幸福こうふくを与あたえてやりたいと答こたえたのであります。
――一九二四・一〇作――

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