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一本の釣りざお(2)
日期:2022-09-01 23:23  点击:328
 

二


 ある春はるの日ひのことでありました。陸おかには、桜さくらの花はなの咲さく時分じぶんでありました。二人ふたりは、北きたの青あおい海うみの上うえに出でて釣つりをしていました。たいがかかる時分じぶんでありました。いくら二人ふたりは、こうしていっしょうけんめいになってたいを釣つっても、それを自分じぶんたちが食たべることはできなかった。みんな町まちの魚屋さかなやに売うってしまって、その金かねで家族かぞくのものを養やしなわなければならなかったのです。
「ほんとうに、俺おれたちは、こうして毎日まいにちたいをとっても自分じぶんたちの口くちに入いらないのは、考かんがえると、つまらないことだ。今日きょうはひとつ自分じぶんが料理りょうりをして子供こどもらにたべさせてやろう。」と、甲こうがいいました。
「ほんとうに、そうだ。私わたしも、家うちに帰かえったら、ひとつ料理りょうりをして子供こどもや妻つまに食たべさしてやろう。」と、乙おつがいいました。
 その日ひ二人ふたりは、海うみから働はたらいてたがいに家うちに帰かえりました。そして、甲こうも乙おつも、自分じぶんたちのとった大おおだいを一尾ぴきずつ料理りょうりをしました。すると甲こうのほうのたいの腹はらから小指こゆびの先さきほどの真珠しんじゅが飛とび出だしたのであります。
「これはたいへんなものが出でた。」といって、甲こうは喜よろこんでおどりあがりました。そして、家うちじゅうのものは大騒おおさわぎをしました。
 甲こうは、さっそく乙おつのところへやってまいりました。それは、乙おつのところのたいからも真珠しんじゅは出でなかったかと聞ききにきたのであります。すると、乙おつは、甲こうのために喜よろこんでいいました。
「甲こうさん、そんないいことはめったにあるもんでない。おそらく、あとのたいをみんな腹はらを割わってみたって、もうこのうえ真珠しんじゅが入はいっているものでない。これは神かみさまがあなたにお与あたえなさったのです。」といいました。
 甲こうは、こう聞きくといっそう喜よろこんで家うちに帰かえりました。
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