婦人の過去と将来の予期_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29 点击:3371
三
「それからどうなったい。」
と、
甲が
丙に
尋ねました。
「これで、もうお
話は
終わったんだよ。」
丙が
星晴れのした
空をながめて
答えました。
「その
家来は
死んでしまったから、
天子さまも
死んでしまったんだね。」
と
乙がいいました。
「それはそうさ、
天子さまも
不死の
薬を
飲むことができなかったから、やはり
年を
老って
死んでしまいなされたろう。」
と
丙がいいました。
「ばかだね、その
家来は
自分もその
薬を
飲んで、そして
天子さまへも
徳利の
中へ
入れて
持ってゆけばよかったのに。そうすれば
二人とも
死ななかったろうに。」
と、
乙が
考えながら
家来の
智慧のないのを
笑っていいました。
「だって、
天子さまより
先に
飲むのは
不忠と
思ったかもしれないさ。」
と
甲がいいました。
三
人は、かしの
木の
下に
腰を
下ろして、
西南の
国境にある
金峰仙の
方を
見ながら、まだあの
高い
山の
嶺には
不死の
泉があるだろうかというようなことを
話して
空想にふけりました。
星晴れのした
夜の
空に
高い
山のとがった
嶺が
黒くそびえて
見えます。その
嶺の
上にあたって一つ
金色の
星がキラキラと
輝いています。
三
人の
子供らは、よく
祖母や、
母親から、
夜ごとに
天からろうそくが
降ってくるとか、また
下界で、この
山の
神さまに
祈りをささげるろうそくの
火が、
空を
泳いで
山の
嶺に
上るとかいうような
不思議な
話を
胸の
中に
思い
出しました。
「
神さまというものはあるものだろうか。」
と、もっとも
年少の
丙が、たまらなくなってため
息をしながらいいました。
「
学校の
先生はないといったよ。」
と、
乙が
教師のいったことを
思い
出していいました。
「
先生はどうして、ないことを
知っているだろう。」
と、
甲が
乙のいったことに
疑いをはさみました。
「
僕はあると
思うよ。そんなら、だれがあの
星や、
山や、この
地球や、
人間を
造ったのだろう。」
と、
丙が
輝く
瞳を
星に
向けて
涙ぐみました。
夜の
風に
吹かれて、かしの
木がサワサワと
鳴っています。
「そして、だれがこの
人間を
造ったんだろう。」
と、
丙が
声を
慄わせて
叫びました。
三
人はしばらく
黙って、
深く
思いに
沈んでいましたが、
「
不思議だ。」
といい
合いました。
すでに
北国の
夏の
夜はふけてみえました。
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