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第九課 会議
本文
会議をする場合、参加者の一人一人が、話し合いの議題について、よく理解しておくことが大切です。そのためには、議題を事前に予告しておくことが必要です。それによって参加者は、あらかじめ議題について考えをめぐらし、自分なりの意見を用意しておくことができ、話し合いが活発に行われるようになります。
会議では、進行やまとめをする係として議長を選びます。議長は、発言が全員に、しかも公平に行われるようにしたり、適切に判断して議事を進行したりして、建設的に話し合いが進められるように気を配ります。ときには議長も自ら意見を言いたくなる場合もありますが、なるべく差し控えて、参加者に自由に意見を出させるようにします。そして、個人個人の意見を大事にしながら、それを整理し、まとめて行きます。
参加者は前の人の発言をよく受け止めて、議長に断ってから発言するようにします。また、質問なのか、意見なのか、発言の意図を明らかにするようにします。とくに、賛成、反対の意見を言う場合には、その理由をはっきりさせるようにします。
会話
議長:それでは、会議を始めます。今日は、黒板に予告しておいたように、「読書発表会の持ち方という議題で話し合います。では、この議題について、図書委員の谷川さんに提案理由を説明してもらいます。
谷川:私たちのクラスでは、何回か読書発表会をやったことがありました。けれども、発表のできる人が少なかったことや、会の内容がつまらなかったことなどで、立ち消えになってしまいました。この間、図書委員会で話し合ったとき、上級クラスになったのを機会に、みんなが本を読みたくなるような楽しい読書発表会の持ち方を工夫してみてはどうか、ということになったのです。それで、会の内容や発表の仕方について、みんなで話し合ってもらいたいと思ったのです。
議長:会の内容がつまらなかったというのは、どういうことですか。
谷川:何人かの人に聞いたところでは、いつも、物語のあらすじや感想の発表ばかりで、おもしろくなかったということでした。
木村:今までの発表者は、全部で何人ぐらいでしたか。
谷川:たしか四回で、二十人ぐらいだったと思います。
大田:発表者を増やすには、発表会をもっと多くしなければなりませんね。
谷川:そうなるかもしれません。でも、一人の時間をもっと短くするように工夫することも、できるのではないでしょうか。
野村:僕は、発表者を増やしても、みんなが本を読んでいなければ、なんにもならないと思うな。
議長:ちょっと待って。ほかに質問はありませんか。――では、野村君。
野村:僕は暇がなくて、あまり本を読んでいないから、発表することがなくて困ります。だから、増やさなくてもいいと思います。
高木:僕も同じです。
大田:でも、一か月に一冊ぐらいは読めるでしょう。そうすれば、月一回の発表会でも、全員が発表できるわけです。それに、谷川さんの提案理由にもあったように、読書発表会を通して、みんなが読書に親しむようになることも、大事なことだと思います。
谷川:図書委員会の資料によると、一人平均、一か月に約一?五冊です。
議長:野村君、高木君、どうですか。
野村:そのくらいなら読んでいると思います。僕もできそうです。
議長:では、会の持ち方にどんな方法があるか、意見を出してください。
北川:私は、毎月第一土曜日とか、日を決めてやるようにしたらいいと思います。そうして、その都度、次回の発表者を決めておくのです。
大田:僕も、北川さんの意見に賛成です、毎回何人が発表するかも、だいたい決めておくほうがいいと思います。こういうふうにすると、発表者の励みにもなって、読む力も養われると思います。
高木:それはいいな。どうしても読まなければならなくなります。
大田:私は、定期的に、発表者を決めて会を開くことには賛成ですが、毎月一回でなく、もっと発表の機会を多くする必要があると思います。あらすじや感想を詳しく話すのではなく、読んだ本の紹介をするだけでもいいと思います。
木村:僕も、大田さんと同じ意見です。週に一回ぐらい短い時間でもいいから、読んだ本をお互いに早く知らせあうことが大切だと思います。これは、読書発表会と区別して、読書報告会としたらどうでしょう。
中村:読書生活の向上ということも考えて、私は今の意見に賛成です。
議長:今までに、会の持ち方として、月一回の読書発表会と週一回の読書報告会が出されましたが、まだほかにありますか。
石原:僕は、今までの案に反対というわけではないのですが、それとは別に、一年に一回か二回、たっぷり時間を取ってやるのもいいと思います。読書の発表だけでなく、朗読をしたり、班ごとに読んだ本の紙芝居を作って発表したり、いろいろ楽しい試みが工夫できるでしょう。それから、感想文や読書ノートを展示するのもいいでしょう。
野村:それはおもしろそうだな。読書の祭典だね。
議長:三つの案が出ましたが、図書委員として意見はありませんか。
谷川:みんな、とてもいい意見で楽しみです。もっと具体的に話し合いを進めてもらえればありがたいのですが、それから、全部やるのかどうかも。
議長:分かりました。時間のことは、後で先生のご意見をお聞きしなければなりませんが、これから、読書報告会、読書発表会、読書祭りの順で話し合いを進めたいと思います。できるだけ具体的に会の内容や方法について意見を出してください。
応用文
クラス会の招待と通知
春休みも間近いある日、スブロト君は大学からの帰り道で、偶然グプタ君に出会った。
スブロト 「やあ、久しぶり、元気ですか。」
グプタ 「ええ、おかげで。君も相変わらず元気そうですね。」
スブロト 「ええ、ありがとう。ずいぶん会いませんでしたね。」
グプタ 「そう、日本語学校を卒業してから今日が初めてじゃないですか。」
スブロト 「久しぶりですから、どこかでお茶でも飲みながら話しましょうか。」
二人は一年ぶりの再会を喜び合い、親しげに肩を並べて近くの喫茶店へ足を向けた。
お互いの学生生活や地方の大学へ行った友達の噂話など積もる話はなかなか尽きなかった。
最後にスブロト君が世話役になってクラス会を開くことに話を決め、二人が別れたときは、もうすっかり日も暮れて、あたりは暗くなっていた。スブロト君はさっそくその足で心当たりの会場を二、三交渉してみた。それから、一週間後、スブロト君は先生には招待状を友達には通知状をそれぞれ出した。
先生への招待状
厳しい寒さも過ぎて日一日と暖かさが増してまいりました。しばらくご無沙汰いたしておりますが、お変わりはございませんか。私のほうは試験も終わり、あすから春休みになりますが、先生はちょうど試験期で毎日お忙しいことと存じます。
さて、一週間ほど前、偶然グプタ君に会って、久しぶりにいろいろの思い出話をいたしました。その折り、昨年卒業したものたちで会を開こうという話が出、それから二三友達とも相談の末、来たる二十五日(土)午後一時から新宿の田村屋でクラス会を開くことにいたしました。私ども一同、先生のご出席を楽しみにしておりますから、ぜひお出かけくださいませ。お待ちしております。
三月十三日
スブロト
大田新作先生
ファンクション用語
退席(たいせき)
A 私はちょっと用事がありますから、十分ばかり失礼いたします。
B どうぞ。
C 私も急用ができましたので、先に退席させていただきます。
D どうぞ、お先に。
C じゃあ、また。
単語
議題(ぎだい)(名)〇 议题
事前(じぜん)(名)〇 事先
巡らす(めぐらす)(他五)〇③ 围绕
議長(ぎちょう)(名)① 议长,主席
発言(はつげん)(名 自サ)〇 发言
公平(こうへい)(名 形動)〇 公平
適切(てきせつ)(名 形動)〇 恰当
判断(はんだん)(名 他サ)③① 判断,推测
議事(ぎじ)(名)① 议事,审议
建設的(けんせつてき)(形動)〇 建设性的
自ら(みずから)(副)① 亲自
差し控える(さしひかえる)(自他一)〇⑤ 节制;等候
受け止める(うけとめる)(他一)〇 接住;理解
断る(ことわる)(他五)③ 事先请示;拒绝
意図(いと)(名 他サ)① 意图
明らか(あきらか)(形動)② 明显,清楚
予告(よこく)(名 他サ)〇 预告
持ち方(もちかた)(名)〇 拿法
委員(いいん)(名)① 委员
谷川(たにがわ)(専)〇 (姓)
立ち消え(たちきえ)(名 自サ)〇 中断
上級(じょうきゅう)(名)〇 高一级
粗筋(あらすじ)(名)〇 梗概,概略
大田(おおた)(専)〇 (姓)
増やす(ふやす)(他五)② 增加
野村(のむら)(専)〇 (姓)
高木(たかぎ)(専)〇 (姓)
北川(きたかわ)(専)〇 (姓)
その都度(そのつど)(組)③ 每次,每回
次回(じかい)(名)① 下次
養う(やしなう)(他五)〇③ 培养,抚养
定期的(ていきてき)(形動)〇 定期的
向上(こうじょう)(名 自サ)〇 向上,提高
石原(いしはら)(専)〇 (姓)
たっぷり(副)③ 充分,足够
紙芝居(かみしばい)(名)③ 拉洋片,连环画剧
試み(こころみ)(名)④③ 尝试,试验
展示(てんじ)(名 他サ)〇 展示
祭典(さいてん)(名)〇④ 盛典,祭礼
有難い(ありがたい)(形)④ 难得;值得庆幸
クラス会(名)③ 班会
通知(つうち)(名 他サ)〇 通知
春休み(はるやすみ)(名)③ 春假
間近い(まぢかい)(形)③ 临近
スブロト(専)② (人名)
帰り道(かえりみち)(名)③ 归途
偶然(ぐうぜん)(副)〇 偶尔,偶然
グプタ(専)① (人名)
相変わらず(あいかわらず)(副)〇 照旧,依旧
再会(さいかい)(名 自サ)〇 重逢
親しげ(したしげ)(形動)③ 亲密
肩を並べる(かたをならべる)(組) 并肩
噂話(うわさばなし)(名)④ 闲话,谈话;谣传
尽きる(つきる)(自一)〇② 尽,完
世話役(せわやく)(名)〇 筹办者,发起人
暮れる(くれる)(自一)〇 天黑
暗い(くらい)(形)〇 暗的
心当たり(こころあたり)(名)④ 线索
交渉(こうしょう)(名 自サ)〇 交涉
招待状(しょうたいじょう)(名)③〇 请帖
日一日と(ひいちにちと)(副)① 一天天地
増す(ます)(自他五)〇 增加,增长
試験期(しけんき)(名)② 考试期
存じる(ぞんじる)(自一)③〇 「思う」の謙譲語
思い出話(おもいでばなし)(名)⑤ 叙旧,谈往事
その折り(そのおり)(組) 那时
昨年(さくねん)(名)〇 去年
来たる(きたる)(連体)② 下次的
田村屋(たむらや)(専)〇③ (店名)
一同(いちどう)(名 副)③② 大家,全体
大田新作(おおたしんさく)(専)〇 (人名)
(感谢 xzbaszy 输入课文和单词)
一、なり(本文)
それによって参加者は、あらかじめ議題について考えをめぐらし、自分なりの意見を用意しておくことができる。
接在名词后面表示与……相适合。
どう言われてもいいです。私たちなりのやり方でやりましょう。
不管人们怎么说都行。我们按照我们的方法做吧。
学生は学生なりの考えがありますから、理解してほしい。
学生有学生自己的想法,希望能理解。
二、….を機会に(会話)
上級のクラスになったのを機会に、みんなが本を読みたくなるような楽しい読書発表会の持ち方を工夫してはどうか、……
表示以……为机会。
これを機会にまたぜひ遊びにいらっしゃってくださいね。
把这儿作为开头,请务必再来玩。
課長の帰ったのを機会にみんなも帰った。
趁科长回去的机会,我们也回去了。
三、…てはどう(会話)
上級のクラスになったのを機会に、みんなが本を読みたくなるような楽しい読書発表会の持ち方を工夫してはどうか、……
表示征求意见。更客气的说法:「…てはいかが」。
体力作りをするのに、休み時間に鉄棒で前回りを五回ずつしてはどうですか。
为了增强体力,休息时间用单杠作向前转五次怎么样?
夏休みに学生に社会調査をさせてはどう?
暑假让学生做社会调查怎么样?
四、…ぐらいは…(会話)
一か月に一冊ぐらいは読めるでしょう。
表示最低限度。「…ぐらいの…は…」也表示最低限度。
新聞など読めなくても、自分の名前ぐらいは書けるでしょう。
即使不能看懂报纸什么的,起码能写自己的名字吧。
あなたぐらいの高さはあるでしょう。
至少有你那么高吧。
五、…わけだ(会話)
そうすれば、月一回の発表会でも、全員が発表できるわけだ。
做形式体言,表示有这么一种情况。
教師と学生の関係がこうなってしまったのでは、学生が騒ぐのも無理はないわけだ
老师和学生的关系到了这个地步,学生的吵闹也是必然的了。
山の中に住んでいると、冬になれば自然に冬の風物が見られるわけだが、都会ではなかなかそうはいかない。
住在山里,到了冬天自然能见到冬天的景色。而在城里就很难做到了。
六、「は」表示让步(会話)
私は、定期的に発表者を決めて会を聞くことには賛成ですが、毎月一回でなく……
和后面的「が」相呼应,表示让步。
支度してはおくが、彼来るかな。
准备倒是准备好了,可是他会不会来啊?
読んではいるが、あまりわからない。
看倒是在看,可是不太懂。
七、…ではなく、…だ(会話)
あらかじめ感想を詳しく話すのではなく、読んだ本の紹介をするだけでもいいと思う。
表示不是……而是……。
文法をよく知っているかどうかは問題ではなく、それより話せることが大切だ。
问题不在于懂不懂文法,会说才是主要的。
この部屋が狭いのではなく、物がありすぎるから、部屋が狭く見えるわけだ。
这个房间并不小,因为东西太多了,所以房间显得小了。
八、~げ(応用文)
ふたりは一年ぶりの再会を喜び合い、親しげに肩を並べて近くの喫茶店へ足を向けた。
接在形容词词干后构成形容动词,表示某种神情、样子、情形、感觉等。
彼女はとても仲の良い友に死なれてから、いつも悲しげな顔をしている。
自从她失去了要好的朋友之后,总是显得神情很悲伤。
子供たちは木陰の下で楽しげに遊んでいる。
孩子们在树阴下愉快的玩着。
九、…ことと存じます(応用文)
先生はちょうど試験期で毎日お忙しいことと存じます。
「…ことと思います」の尊敬語。
いい大学にご入学なさって、ご両親もお喜びになられたことと存じます。
您考上了好的大学,想必您的父母很高兴。
来週の火曜日に学部では研究会がございますが、鈴木先生もご出席なさることと存じます。
下周二系里有研讨会,想必铃木老师您也出席。
十、なんにもならない(会話)
みんなが本を読んでいなければ、なんにもならない。
表示无济于事。
今になってそんなことをしてもなんにもならない。
事至如今,即使那样做也无济于事。
こうなった以上、泣いても何にもならない。
变成这样,即使哭也没有用了。