カニの甲羅の毛
蟹壳毛
むかしむかし、サルとカニが餅を作る事になりました。
很久很久以前,猴子和螃蟹做了年糕。
「カニどん、おらが餅をついてやるから、カニどんは餅米を持って来てくれ」
“螃蟹,我给你捣年糕,你给我拿来糯米。”
カニは家から餅米を持って来ると、サルに渡しました。
螃蟹从家里拿来糯米,就交给了猴子。
「よしよし、ではカニどん。おらが餅をついてやるから、カニどんはこの餅米を蒸してくれ」
“好了好了,那螃蟹。我给你捣年糕,螃蟹给我蒸这个糯米。”
カニは言われた通りに、餅米を蒸しました。
螃蟹按照所说的那样蒸了糯米。
「よしよし、ではカニどん。おらが餅をついてやるから、餅をつく為のうすときねを持って来てくれ」
“好了好了,那螃蟹。我给你捣年糕,你拿捣年糕用的臼和杵来。”
カニはうすときねを持っていなかったので、山へ行くと自慢のハサミで木を切り倒し、木を削ってうすときねを作りました。
螃蟹因为没有臼和杵,所以去了山上,用引以为豪的大钳子砍倒了树,削了树做了臼和杵。
カニからうすときねを受け取ったサルは、やれやれと言う様に首を横に振って言いました。
猴子从螃蟹那里接过了臼和杵,摇着头说:“哎呀!”。
「駄目駄目。うすは良いが、こんな曲がったきねじゃ、餅はつけんよ」
“不行不行。臼是好的,但是杵这么弯的话,就不能做年糕了。”
カニは仕方なくまた山へ行って、きねにぴったりの木を探しました。
螃蟹没办法又去山里,找了一棵很适合做杵的树。
さて、その間にサルは曲がったきねとうすで餅をつくと、その餅を持って柿の木に登ってしまいました。
在这期间,猴子用弯曲的木杵捣年糕,拿着年糕爬上了柿子树。
やがてカニはまっすぐのきねを作って来ましたが、すでにサルは木の上でつきたての餅を食べようとしています。
不久螃蟹就做了一个笔直的杵,猴子已经在树上吃了刚捣好的年糕。
「やあ、カニどん。
“啊,螃蟹。
残念だけど、餅は全部頂くよ。
很遗憾,年糕都在树上了。
欲しかったら、ここまで来てみなよ。
想要的话,就爬上来吧。
まあ、カニの足ではここまで登れないだろうけどね。
嗯,螃蟹的脚不能爬到这里吧。
ウッキキキー」”
木の上から馬鹿にするサルに腹を立てたカニは、持っていたきねでサルが登った柿の木を思いっきり叩きました。ドーーーン!
螃蟹对树上瞧不起他的猴子很生气,拿着他刚做的杵狠狠地敲了猴子爬上去的柿子树。咚!
するとその振動でサルはバランスを崩して、食べようとしていた餅を落としてしまったのです。
猴子因为振动失去了平衡,把年糕弄掉了。
「しまった!」
“糟了!”
サルが慌てて木から降りると、餅はカニが自分の家に持って帰った後でした。
猴子慌忙从树上下来,但是年糕已经被螃蟹带回自己家了。
サルは、カニの家の戸を叩くと言いました。
猴子敲螃蟹家的门。
「悪かった、カニどん。謝るから、おらにも餅を分けてくれよ」
“对不起,螃蟹。我道歉,你也分给我年糕吧。”
「・・・・・・」
“……”
カニは餅をしっかりと掴んだまま、返事をしません。
螃蟹紧紧抓住年糕,不回答。
「わかった。カニどんが前から欲しがっていた、毛を一本やろう。毛が生えていると、暖かいぞ」
“知道了。螃蟹你以前就想要,给你一根毛吧。长着毛的话,会很暖和的。”
「・・・・・・」
“……”
「じゃあ、毛を二本でどうだ?」
“那两根毛怎么样?”
「・・・・・・」
“……”
「じゃあ、毛を三本だ!」
“那么,三根毛!”
なんともせこい交渉ですが、意外にもカニは納得したらしく、サルから毛を三本もらうと餅を半分にして、片方をサルに分けてあげました。
虽然是很小气的交涉,但是螃蟹好像意外地接受了,从猴子那里得到了三根毛,把年糕切成了两半,分给了猴子一半。
その時からです。
从那时开始。
サルの毛がむかしより三本少なくなって、代わりにカニの甲羅に毛が生えるようになったのは。
猴子少的三根毛,长到了螃蟹的壳上。