若返りの水
返老还童的水
むかしむかし、山のふもとの小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
很久很久以前,在山脚下的一个小村庄里住着一位老爷爷和老奶奶。
おじいさんの仕事は、炭焼きです。
爷爷的工作是烧炭。
山の木を切って、炭を焼いて俵(たわら)に詰めて、近くの町ヘ売りに行くのです。
把山上的树砍掉,烧炭装在草袋里,然后去附近的镇上卖。
でもおじいさんは、この頃年を取って仕事が辛くなりました。
但是爷爷最近年纪大了,工作变得辛苦了。
「ああ、腰は曲がるし、目はしょぼしょぼするし。・・・嫌になってしもうたなあ」
“啊,腰弯了,眼睛也不好了。……真讨厌啊。”
その日もおじいさんは炭俵をかついで、ヨタヨタと山を下り始めました。
那天,老爷爷也扛着炭袋,摇摇晃晃地开始下山。
とても暑い日だったので、喉がカラカラに渇きます。
因为是很热的一天,所以口渴。
ふと見ると、道ばたに突き出た岩から、きれいな水がチョロチョロと吹き出していました。
突然一看,从路旁突出的岩石上喷出了清澈的水。
「こいつは、ありがたい」
“这真是太幸运了。”
おじいさんは、その冷たい水を飲みました。
老爷爷喝了那杯冷水。
とてもおいしい水です。
非常好喝的水。
「ああ、うまかった。何だか腰がシャンと伸びた様だぞ」
“啊,太好喝了。总觉得腰好像伸直了。”
おじいさんは水のおかげで元気が出たのだと思い、深く考えもせずに山を下りて家へ帰ってきました。
老爷爷觉得多亏了水才有了精神,没想太多就下山回家了。
「ばあさんや、帰ったよ」
“老婆子,我回来了。”
「おや、早かったですね。おじいさん・・・!」
“哎呀,真早啊。老头子……!”
おばあさんはビックリ。
奶奶吓了一跳。
目をパチパチさせて、おじいさんを見上げました。
眨巴着眼睛,抬头看了看老爷爷。
いいえ、おじいさんではなく、そこにいたのはおばあさんがお嫁に来た頃の、あの頃の若いおじいさんでした。
不,不是老头子,站在那里的是奶奶出嫁时的那个年轻的爷爷。
「・・・わたしは、夢でも見ているんじゃあ、ないでしょうかね」
“……我不是在做梦吗?”
おじいさんもおばあさんに言われて始めて、自分が若返っている事に気づきました。
老爷爷也是被老奶奶说了之后才发现自己变年轻了。
「若返りの水というのがあると聞いていたが、それではあれがその水だったんだな」
“听说有返老还童的水,那就是那水了。”
おじいさんは岩から吹き出していた、きれいな冷たい水の事をおばあさんに話して聞かせました。
老爷爷把从岩石上冒出来的清澈的冷水告诉了老奶奶。
「まあ、そんなけっこうな水があるんなら、わたしも行って頂いてきましょう」
“嗯,如果有那么好的水的话,我也去吧。”
おばあさんはそう言って、次の日さっそく山へ出かけて行きました。
老奶奶这样说着,第二天就马上到山上去了。
おじいさんはおばあさんがさぞかし若くきれいになって、帰って来るだろうと楽しみにして待っていました。
老爷爷期待着老奶奶一定会变年轻变漂亮,回来。
ところが昼になっても、夜になっても、おばあさんは帰ってきません。
可是到了中午,到了晚上,奶奶都没有回来。
おじいさんは心配になって、村の人と山へ探しに行きました。
老爷爷很担心,就和村里的人去山上找。
でも、おばあさんはいません。
但是,奶奶不在。
「いったい、どこへ行ってしまったんだろうなあ?」
“到底去哪里了呢?”
「キツネに化かされて、山奥へ連れて行かれてしまったのとちがうか?」
“是不是被狐狸精带到深山里去了?”
みんなが話し合っていると、
大家在讨论的时候
「オギャー、オギャー」
“哇,哇”
と、そばの草むらの中から、赤ん坊の泣き声が聞こえて来ました。
从旁边的草丛中传来了婴儿的哭声。
おじいさんが近づいてみると、おばあさんの着物を着た赤ちゃんが、顔をまっ赤にして泣きじゃくっていました。
老爷爷走近一看,穿着老奶奶衣服的小宝宝脸通红地哭了起来。
「・・・馬鹿だなあ、ばあさんの奴。飲み過ぎて赤ん坊になってしもうた」
“……真是个笨蛋啊,老婆子那家伙。喝多了变成婴儿了。”
仕方がないので、おじいさんは赤ん坊を抱いて家へ帰りました。
没办法,爷爷抱着婴儿回家了。