「でも、あなた様が『名前を呼んではいけないあの人』に打ち勝ってからというもの、わたくしどものような者にとって、生活は全体によくなったのでございます。ハリー・ポッターが生き残った。闇やみの帝てい王おうの力は打ち砕くだかれた。それは新しい夜明けでございました。暗くら闇やみの日に終わりはないと思っていたわたくしどもにとりまして、ハリー・ポッターは希望の道みち標しるべのように輝かがやいたのでございます……。それなのに、ホグワーツで恐ろしいことが起きようとしている。もう起こっているのかもしれません。ですから、ドビーめはハリー・ポッターをここに留とどまらせるわけにはいかないのです。歴れき史しが繰くり返されようとしているのですから。またしても『秘ひ密みつの部へ屋や』が開かれたのですから――」
ドビーはハッと恐きょう怖ふで凍こおりついたようになり、やにわにベッドの脇わき机づくえにあったハリーの水みず差さしをつかみ、自分の頭にぶっつけて、引っくり返って見えなくなってしまった。次の瞬しゅん間かん、
「ドビーは悪い子、とっても悪い子……」とブツブツ言いながら、目をくらくらさせ、ドビーはベッドの上に這はい戻もどってきた。
「それじゃ、『秘密の部屋』はほんとにあるんだね」ハリーがつぶやいた。「そして――君、それが以前にも開かれたことがあるって言ったね 教えてよ、ドビー」
ドビーの手がそろそろと水差しのほうに伸びたので、ハリーはその痩やせこけた手首をつかんで押さえた。
「だけど、僕ぼくはマグル出身じゃないのに――その部屋がどうして僕にとって危き険けんだというの」
「あぁ。どうぞもう聞かないでくださいまし。哀あわれなドビーめにもうお尋たずねにならないで」
ドビーは暗闇の中で大きな目を見開いて口ごもった。
“可是总的来说,自从你战胜了那个连名字都不能提的魔头之后,我们这些人的生活已经大有改善。哈利’波特活了下来,邪恶魔头的魔力被打破了,这是一个新的开端,先生。对于我们中间这些认为黑暗的日子永远不会完结的人来说,哈利波特就像希望的灯塔一样闪耀着,先生..现在,在霍格沃茨,可怕的事情就要发生,也许已经发生了,多比不能让哈利波特留在这里,因为历史即将重演,密室又一次被打开—— ”
多比果住了,惊恐万状,接着便从床头柜上抓起哈利的水罐,敲碎在他自己脑袋上,然后摇摇晃晃地消失了。一秒钟后,他又慢慢地爬到床上,两只眼珠对着,低声嘟囔着说:“坏多比,很坏很坏的多比..’’“这么说,确实有一个密室?”哈利小声问,“而且—— 你说它以前曾被打开过?告诉我,多比!”
小精灵多比的手又朝水罐伸去,哈利一把抓住他皮包骨头的手腕。“但我不是麻瓜出身的呀—— 密室怎么可能对我有危险呢?”“啊,先生,别再问了,别再追问可怜的多比了。”小精灵结结巴巴地说,眼睛在黑暗中大得像铜铃。