ハリーはベッドに座ってエロールの包みをつかみ、茶色の包み紙を破り取った。中から金色の紙に包まれたプレゼントと、生まれて初めての誕たん生じょう祝いわいカードが出てきた。微かすかに震ふるえる指で、ハリーは封ふう筒とうを開けた。紙片しへんが二枚、ハラリと落ちた――手紙と、新聞の切り抜きだった。
切り抜きはまぎれもなく魔法界の「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」のものだった。なにしろ、モノクロ写真の人物がみな動いている。ハリーは切り抜きを拾い上げ、しわを伸ばして読みはじめた。
魔法まほう省しょう官かん僚りょう グランプリ大当たり
魔法省・マグル製せい品ひん不正ふせい使用しよう取とり締しまり局きょく長ちょう、アーサー・ウィーズリー氏が、今年の「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん・ガリオンくじグランプリ」を当てた。
喜びのウィーズリー氏は記者に対し、「この金貨きんかは、夏休みにエジプトに行くのに使うつもりです。長男のビルがグリンゴッツ魔法銀行の『呪のろい破やぶり』としてそこで仕事をしていますので」と語った。
ウィーズリー一家はエジプトで一ヵ月を過ごし、ホグワーツの新学期に合わせて帰国する。ウィーズリー家けの七人の子どものうち五人が、現在そこに在ざい学がく中ちゅうである。
ハリーは動く写真をざっと眺ながめ、ウィーズリー家全員の写真を見て顔中に笑いが広がった。九人全員が大きなピラミッドの前に立ち、ハリーに向かって思いっきり手を振っている。小柄こがらで丸っこいウィーズリー夫人、長身で禿はげているウィーズリー氏、六人の息子むすこと娘が一人、みんなが(モノクロ写真ではわからないが)燃えるような赤毛だ。真ん中に、ノッポで手足を持て余し気ぎ味みのロンがいた。肩にペットのネズミ、スキャバーズを載のせ、腕うでを妹のジニーに回している。