ハリーはまた笑い、ハーマイオニーの手紙を脇に置いてプレゼントを取り上げた。とても重いものだった。ハーマイオニーのことだから、きっと難しい呪じゅ文もんがぎっしり詰つまった大きな本に違いない。――しかし、そうではなかった。包み紙を破ると、ハリーの心臓は飛び上がった。黒い滑なめらかな革かわのケースに銀文字で「箒ほうき磨みがきセット」と刻こく印いんされている。
「ハーマイオニー、ワーオ!」
ジッパーを開けながらハリーは小声で叫さけんだ。
「フリートウッズ社製せい 高こう級きゅう仕し上あげ箒ほうき柄え磨みがき」の大おお瓶びん一本、銀製のピカピカした「箒の尾お鋏ばさみ」一丁ちょう、長ちょう距きょ離り飛行のため箒にクリップで留とめられるようになった小さな真しん鍮ちゅうのコンパスが一個、それと、「自分でできる箒の手入れガイドブック」が入っていた。
ホグワーツの友達に会えないのもさびしかったが、加えて、一番恋しかったのはクィディッチだった。魔法界で一番人気のスポーツ――箒に乗って競きょう技ぎする、非常に危険きけんで、わくわくするスポーツだ。ところでハリーは、クィディッチの選手として非常に優ゆう秀しゅうで、今世紀最年少の選手としてホグワーツの寮りょう代だい表ひょう選手に選ばれた。ハリーの宝物の一つが競技用箒「ニンバス2000」だった。
ハリーは革かわのケースを脇わきに置き、最後の包みを取り上げた。茶色の包み紙に書かれたミミズののたくったような字は誰のものかすぐわかった。――これはホグワーツの森番、ハグリッドからだ。一番上の包み紙を破り取ると、何やら緑色で革のようなものがチラッと見えた。ところが、ちゃんと荷を解とく前に、包みが奇き妙みょうな震ふるえ方をし、得体えたいの知れない中身が大きな音をたててパクンと噛かんだ。――まるで顎あごがあるようだ。