一いっ瞬しゅん、ハリーは打ち所が悪くておかしくなったのかと思った。すると紫の制せい服ふくを着た車しゃ掌しょうがバスから飛び降おり、闇やみに向かって大声で呼びかけた。
「『ナイト・バス』がお迎むかえにきました。迷子まいごの魔法使い、魔女たちの緊きん急きゅうお助けバスです。杖つえ腕うでをさし出せば参さんじます。ご乗車ください。そうすればどこなりと、お望みの場所までお連れします。わたしはスタン・シャンパイク、車掌として、今夜――」
車掌が突とつ然ぜん黙だまった。地面に座り込んだままのハリーを見つけたのだ。ハリーは落とした杖を拾い上げ、急いで立ち上がった。近よってよく見ると、スタン・シャンパイクはハリーとあまり年の違わない、せいぜい十八、九歳さい。大きな耳が突き出し、にきびだらけだった。
「そんなとこですっころがって、いってぇなにしてた?」スタンは職しょく業ぎょう口く調ちょうを忘れていた。
「転んじゃって」とハリー。
「なんでころんじまった?」スタンが鼻はな先さきで笑った。
「わざと転んだわけじゃないよ」
ハリーは気を悪くした。ジーンズの片かた膝ひざが破れ、体を支えようと伸ばしたほうの手からは血が出ていた。突然ハリーは、なんで転んだのかを思い出した。そして慌あわてて振り返り、ガレージと石いし垣がきの間の路ろ地じを見つめた。「ナイト・バス」のヘッドライトがそのあたりを煌こう々こうと照らしていたが、もぬけの殻からだった。
“欢迎乘坐骑士公共汽车,这是为处于困境的女巫或男巫开设的应急客运。只要伸出你的魔杖并且走上车来,我们就可将你带到你想去的任何地方。我的名字是斯坦桑帕克,今晚我是你们的售票员—— ”
这位售票员突然住了嘴。他刚刚看到哈利,其时哈利还坐在地上。哈利又抓起了魔杖,努力站起身来。走近了,他发现桑帕克比他大不了几岁;十八岁,最多十九岁,长着一双大大的扇风耳,脸上还有几个小丘疹。
“你在那里干吗?”桑帕克问道,放下了他那副职业劲头。
“我摔在那儿了。”哈利说。
“特地摔在那里的吗?”桑帕克窃笑着说。
“我不是故意要摔的。”哈利说,不觉着恼了。他的牛仔裤有一条裤腿撕破了,他伸出去以保持身体平衡的那只手在流血。他突然记起他为什么会摔倒,于是他转过身去,瞪着汽车库与篱笆之间的那条胡同。骑士公共汽车的头灯将那里照亮了,那里空荡荡的。