「ナイト・バス」は暗くら闇やみの中を、周まわりの物を蹴け散ちらすように突き進んだ。――木の茂み、道路の杭くい、電話ボックス、立ち木――そしてハリーは、不安と惨みじめさでまんじりともせず、羽はね布ぶ団とんのベッドに横になっていた。しばらくして、ハリーがココアの代金を払ったことを思い出したスタンがやってきたが、バスがアングルシーからアバーディーンに突然飛んだ時に、ココアをハリーの枕まくら一いっ杯ぱいにぶちまけてしまった。
一人、また一人と、魔法使いや魔女が寝ね間ま着きにガウンをはおり、スリッパで上のデッキから下りてきて、バスを降おりていった。みんな降りるのがうれしそうだった。
ついにハリーが最後の乗客になった。
「ほいきた、ネビル」スタンがパンと手を叩たたきながら言った。「ロンドンのどの辺だい?」
「ダイアゴン横よこ丁ちょう」
「合がっ点てん、承し知ょうち。しっかりつかまってな……」
バーン!
バスはチャリング・クロス通りをバンバン飛ばしていた。ハリーは起き上がって、行く手のビルやベンチが身をよじってバスに道を譲ゆずるのを眺ながめた。空が白みかけてきた。数時間は潜ひそんでいよう。そしてグリンゴッツ銀行が開いたらすぐ行こう。それから出発だ。――どこへ行くのか、それはわからないが。
アーンがブレーキを思いっきり踏みつけ、「ナイト・バス」は急きゅう停てい車しゃした。小さな、みすぼらしいパブ、「漏もれ鍋なべ」の前だった。その裏うらにダイアゴン横よこ丁ちょうへの魔法の入口がある。
骑士公共汽车在黑暗里前进,一路冲散灌木、行人安全岛顶端的护柱、电话亭和树木,哈利躺在他的羽毛床上,躁动不安,悲惨可怜。过了一会儿,斯坦想起哈利付过巧克力的钱,但是当这辆汽车突然从阿恩格利西驶往阿伯丁的时候,他把巧克力全洒在了哈利的枕头上。穿着晨衣和拖鞋的男巫和女巫们一个个地从汽车上层下来,离开了汽车。他们好像都很乐意离开。
最后,哈利成了惟一的乘客。
“那么好吧,纳威,”斯坦说,拍着手,“到伦敦去什么地方呀?”
“对角巷。”
“好,”斯坦说,“那么,抓紧..”
砰。
他们沿着查林十字路隆隆前进。哈利坐起来,看着房子和长凳挤在一边,给骑士公共汽车让道。天空比以前亮了一些。他还要躲躲藏藏两个小时,古灵阁银行一开门就进去,然后出发—— 到哪里去,他不知道。
厄恩猛踩一下刹车,骑士公共汽车就滑行着停了下来,停在一家破破烂烂的小酒吧前面。这家小酒吧的名字叫做破釜酒吧,它后面就是通往魔法世界的对角巷的入口。