十分後、新しい教科書を小脇こわきに抱かかえ、ハリーはフローリシュ・アンド・ブロッツ書店を出た。自分がどこに向かっているかの意識もなく、「漏もれ鍋なべ」へ戻もどる道すがら、ハリーは何度か人にぶつかった。
重い足取りで部屋への階段を上り、中に入ってベッドに教科書をバサバサと落とした。誰かが部屋の掃除そうじをすませたらしい。窓が開けられ、陽よう光こうが部屋に注ぎ込こんでいた。ハリーの背後で、部屋からは見えないマグルの通りをバスが走る音が聞こえ、階下からはダイアゴン横よこ丁ちょうの、これもまた姿の見えない雑ざっ踏とうのざわめきが聞こえた。洗せん面めん所の鏡に自分の姿が映うつっていた。
「あれが、死の前兆のはずがない」鏡の自分に向かって、ハリーは挑いどむように語りかけた。
「マグノリア・クレセント通りであれを見た時は気が動どう転てんしてたんだ。たぶん、あれは野の良ら犬いぬだったんだ……」
ハリーはいつものくせで、なんとか髪かみを撫なでつけようとした。
「勝ち目はないよ、坊や」鏡がしわがれた声で言った。
十分钟以后,哈利从书店里走了出来,腋下夹着新书,往破釜酒吧走去,几乎没有注意自己在往哪里去,一路上撞了好几个人。
他脚步沉重地上楼回到自己的房间,把新买的书都倾卸到床上。有人进房间打扫过了;窗子是开着的,阳光倾泻而进。哈利可以听到从他身后看不见的麻瓜街上传来的汽车声,也听得到对角巷中看不见的人群声。他从洗手泡上方的镜子里看到了自己。
“那不会是死亡的预兆,”他不顾一切地对镜中的自己说,“我在木兰花新月看到它的时候,正在神魂不定呢。那可能只不过是一条迷路的狗罢了..”
他机械地举起了手,想抚平头发。
“你在打一场要失败的战争呢,亲爱的。”他的镜子气喘吁吁地说道。