ウィーズリー氏は駅に入るまでずっと、ハリーの肘ひじのあたりにぴったり張はりついていた。
「よし、それじゃ」ウィーズリー氏が周まわりをちらちら見ながら言った。
「我われ々われは大おお所じょ帯たいだから、二人ずつ行こう。私が最初にハリーと一いっ緒しょに通り抜けるよ」
ウィーズリー氏は、ハリーのカートを押しながら、九番線と十番線の間にある柵さくのほうへぶらぶらと歩きながら、ちょうど九番線に到とう着ちゃくした長ちょう距きょ離り列れっ車しゃのインターシティ125号に、興きょう味み津しん々しんのようだった。おじさんはハリーに意味ありげに目配めくばせをし、何気なく柵さくに寄より掛かかった。ハリーもまねをした。
次の瞬しゅん間かん、ハリーたちは固い金属の障しょう壁へきを通り抜け、九と四分の三番線ホームに横よこ様ざまに倒れ込んだ。目を上げると、紅くれない色いろの機関車、ホグワーツ特急が煙を吐はいていた。その煙の下で、ホーム一いっ杯ぱいに溢あふれた魔女や魔法使いが、子どもたちを見送り、汽車に乗せていた。
ハリーの背後に突とつ然ぜんパーシーとジニーが現れた。息を切らしている。走って柵を通り抜けたらしい。
「あ、ペネロピーがいる!」パーシーが髪かみを撫なでつけ、一段と頬ほおを紅こう潮ちょうさせた。
胸に輝かがやくバッジをガールフレンドが絶対見逃みのがさないようにと、ふん反り返って歩くパーシーを見て、ジニーとハリーは顔を見合わせ、パーシーに見られないよう横を向いて吹き出した。
ウィーズリー家けの残りのメンバーとハーマイオニーが到とう着ちゃくしたところで、ハリーとウィーズリー氏が先頭に立って、後こう尾び車しゃ両りょうのほうに歩いていった。満員のコンパートメントを通り過ぎ、ほとんど誰もいない車両を見つけ、そこにトランクを積み込み、ヘドウィグとクルックシャンクスを荷物棚だなに載のせた。それからウィーズリー夫妻ふさいに別れを告げるために、もう一度列車の外に出た。
ウィーズリーおばさんは子どもたち全員にキスをし、それからハーマイオニー、最後にハリーにキスした。ハリーはどぎまぎしながらも、おばさんにぎゅっと抱きしめられてとてもうれしかった。