パーバティは目を丸くして、すぐ後ろに座っていたロンを見つめ、椅い子すを引いて少しロンから離はなれた。
「夏の学期には」トレローニー先生はかまわず続けた。「水すい晶しょう玉だまに進みましょう。――ただし、炎の呪のろいを乗りきれたらでございますよ。つまり、不幸なことに、二月にこのクラスは性た質ちの悪い流りゅう感かんで中ちゅう断だんされることになり、あたくし自身も声が出なくなりますの。イースターのころ、クラスの誰かと永久にお別れすることになりますわ」
この予告よこくで張はりつめた沈ちん黙もくが流れた。トレローニー先生は気にかける様子もない。
「あなた、よろしいかしら」
先生の一番近くにいたラベンダー・ブラウンが、座っていた椅子の中で身を縮ちぢめた。
「一番大きな銀のティーポットを取っていただけないこと?」
ラベンダーはほっとした様子で立ち上がり、棚たなから巨大なポットを取ってきて、トレローニー先生のテーブルに置いた。
「まあ、ありがとう。ところで、あなたの恐れていることですけれど、十月十六日の金曜日に起こりますよ」
ラベンダーが震ふるえた。
「それでは、みなさま、二人ずつ組になってくださいな。棚から紅茶のカップを取って、あたくしのところへいらっしゃい。紅茶を注ついでさし上げましょう。それからお座りになって、お飲みなさい。最後に滓おりが残るところまでお飲みなさい。左手でカップを持ち、滓をカップの内側に沿って三度回しましょう。それからカップを受け皿の上に伏ふせてください。最後の一いっ滴てきが切れるのを待ってご自分のカップを相手に渡わたし、読んでもらいます。『未来みらいの霧きりを晴はらす』の五ページ、六ページを見て、葉の模様もようを読みましょう。あたくしはみなさまの中に移動して、お助けしたり、お教えしたりいたしますわ。あぁ、それから、あなた――」
ちょうど立ち上がりかけていたネビルの腕うでを押さえ、先生が言った。
「一個目のカップを割ってしまったら、次のはブルーの模様もようの入ったのにしてくださる? あたくし、ピンクのが気に入ってますのよ」
まさにそのとおり、ネビルが棚に近よったとたん、カチャンと陶とう磁じ器きの割れる音がした。トレローニー先生がほうきと塵取ちりとりを持って、すーっとネビルのそばにやってきた。