「大だい丈じょう夫ぶかどうか、わたし見てくる!」パンジーはそう言うと、みんなが見守る中、大だい理り石せきの階段を駆け上がっていった。スリザリン生はハグリッドのことをまだブツブツ言いながら、地ち下か牢ろうにある自分たちの寮りょうの談だん話わ室しつに向かっていった。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、グリフィンドール塔とうに向かって階段を上った。
「マルフォイは大丈夫かしら?」ハーマイオニーが心配そうに言った。
「そりゃ、大だい丈じょう夫ぶさ。マダム・ポンフリーは切り傷きずなんかあっという間に治なおせるよ」
ハリーはもっとひどい傷を、校医こういに魔法で治してもらったことがある。
「だけど、ハグリッドの最初の授じゅ業ぎょうであんなことが起こったのは、まずいよな?」ロンも心配そうだった。「マルフォイのやつ、やっぱり引っかき回してくれたよな……」
夕食の時、ハグリッドの顔が見たくて三人は真っ先に大おお広ひろ間まに行った。ハグリッドはいなかった。
「ハグリッドをクビにしたりしないわよね?」
ハーマイオニーはステーキ・キドニー・パイのご馳走ちそうにも手をつけず、不安そうに言った。
「そんなことしないといいけど」ロンも何も食べていなかった。
ハリーはスリザリンのテーブルを見ていた。クラッブとゴイルも混まじって、大おお勢ぜいが固まって何事かさかんに話していた。マルフォイがどんなふうに怪け我がをしたか、都合つごうのいい話をでっち上げているに違いない、とハリーは思った。
「まあね、休み明けの初日としちゃぁ、なかなか波乱はらんに富んだ一日だったと言えなくもないよな」ロンは落ち込こんでいた。
夕食の後のち、混み合ったグリフィンドールの談話室で、マクゴナガル先生の宿題を始めたものの、三人ともしばしば中ちゅう断だんしては、塔とうの窓まどからちらちらと外を見るのだった。
「ハグリッドの小屋に灯あかりが見える」突とつ然ぜんハリーが言った。
ロンが腕うで時ど計けいを見た。
「急げば、ハグリッドに会いにいけるかもしれない。まだ時間も早いし……」
「それはどうかしら」
ハーマイオニーがゆっくりそう言いながら、ちらりと自分を見たのにハリーは気づいた。