「ハグリッド、悪いのはマルフォイのほうよ!」ハーマイオニーが真しん剣けんに言った。
「僕たちが証しょう人にんだ」ハリーが言った。
「侮ぶ辱じょくしたりするとヒッポグリフが攻こう撃げきするって、ハグリッドはそう言った。聞いてなかったマルフォイが悪いんだ。ダンブルドアに何が起こったのかちゃんと話すよ」
「そうだよ。ハグリッド、心配しないで。僕たちがついてる」ロンが言った。
ハグリッドの真っ黒なコガネムシのような目の、目尻の皺しわから、涙がポロポロこぼれ落ちた。ハリーとロンをぐいと引きよせ、ハグリッドは二人を骨も砕くだけるほど抱きしめた。
「ハグリッド、もう十分飲んだと思うわ」ハーマイオニーは厳きびしくそう言うと、テーブルからジョッキを取り上げ、中身を捨てに外に出た。
「あぁ、あの子の言うとおりだな」ハグリッドはハリーとロンを放はなした。二人とも胸をさすり、よろよろと離はなれた。ハグリッドはよいしょと立ち上がり、ふらふらとハーマイオニーのあとから外に出た。水の撥はねる大きな音が聞こえてきた。
「ハグリッド、何をしてるの?」ハーマイオニーが空からのジョッキを持って戻もどってきたので、ハリーが心配そうに聞いた。
「水の入った樽たるに頭を突っ込こんでたわ」ハーマイオニーがジョッキを元に戻した。
長い髪かみと髭ひげをびしょ濡ぬれにして、目を拭ぬぐいながら、ハグリッドが戻ってきた。
「さっぱりした」
ハグリッドは犬のように頭をブルブルッと振るい、三人もびしょ濡れになった。
「なあ、会いにきてくれて、ありがとうよ。ほんとに俺おれ――」
ハグリッドは急に立ち止まり、まるで、ハリーがいるのにはじめて気づいたようにじっと見つめた。
「おまえたち、いったい何しちょる。えっ?」
ハグリッドがあまりに急に大声を出したので、三人とも三十センチも跳とび上がった。
「ハリー、暗くなってからうろうろしちゃいかん! おまえさんたち! 二人とも! ハリーを出しちゃいかん!」
ハグリッドはのっしのっしとハリーに近づき、腕うでを捕つかまえ、ドアまで引ひっ張ぱっていった。
「来るんだ!」ハグリッドは怒ったように言った。
「俺が学校まで送っていく。もう二度と、暗くなってから歩いて俺に会いにきたりするんじゃねえ。俺にはそんな価か値ちはねえ」