「ハグリッドを辞やめさせようとして!」
「そうだねぇ」
マルフォイは声を落とし、ひそひそ囁ささやいた。
「ポッター、それもあるけど。でも、ほかにもいろいろいいことがあってね。ウィーズリー、僕のイモムシを輪わ切ぎりにしろ」
数個先の鍋なべで、ネビルが問題を起こしていた。「魔ま法ほう薬やく」の授じゅ業ぎょうではネビルはいつも支し離り滅めつ裂れつだった。ネビルにとって、これが最悪の学科だ。恐きょう怖ふのスネイプ先生の前では、普段ふだんの十倍もへまをやった。明るい黄緑色になるはずだった水みず薬ぐすりが、なんと――。
「オレンジ色か。ロングボトム」
スネイプが薬を柄ひ杓しゃくで大おお鍋なべからすくい上げ、それを上からタラタラと垂たらし入れて、みんなに見えるようにした。
「オレンジ色。君、教えていただきたいものだが、君の分厚ぶあつい頭ず骸がい骨こつを突き抜けて入っていくものがあるのかね? 我わが輩はいははっきり言ったはずだ。ネズミの脾臓ひぞうは一つでいいと。聞こえなかったのか? ヒルの汁しるはほんの少しでいいと、明めい確かくに申し上げたつもりだが? ロングボトム、いったい我輩はどうすれば君に理解りかいしていただけるのかな?」
ネビルは赤くなって小刻こきざみに震ふるえている。いまにも涙をこぼしそうだった。
「先生、お願いです」ハーマイオニーだ。「先生、私に手伝わせてください。ネビルにちゃんと直させます――」
「君にでしゃばるよう頼んだ覚えはないがね、ミス・グレンジャー」
スネイプは冷たく言い放はなち、ハーマイオニーはネビルと同じくらい赤くなった。
「ロングボトム、このクラスの最後に、この薬を君のヒキガエルに数すう滴てき飲ませて、どうなるか見てみることにする。そうすれば、たぶん君もまともにやろうという気になるだろう」