スネイプは、恐きょう怖ふで息もできないネビルを残し、その場を去った。
「助けてよ!」ネビルがハーマイオニーに呻うめくように頼んだ。
「おい、ハリー」
シェーマス・フィネガンが、ハリーの真しん鍮ちゅうの台だい秤ばかりを借りようと身を乗り出した。
「聞いたか? 今朝の『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』――シリウス・ブラックが目もく撃げきされたって書いてあったよ」
「どこで?」
ハリーとロンが急せき込こんで聞いた。テーブルの向こうでは、マルフォイが目を上げて耳をそば立てた。
「ここからあまり遠くない」シェーマスは興こう奮ふん気ぎ味みだ。
「マグルの女性が目撃したんだ。もち、その人はほんとのことはわかってない。マグルはブラックが普通の犯はん罪ざい者しゃだと思ってるだろ? だからその人、捜査そうさホットラインに電話したんだ。魔ま法ほう省しょうが現場げんばに着いた時にはもぬけの殻からさ」
「ここからあまり遠くない、か……」
ロンが曰いわくありげな目でハリーを見た。ロンが振り返ると、マルフォイがじーっと見つめていた。
「マルフォイ、なんだ? ほかに皮をむくものでもあるのか?」
マルフォイの目はギラギラと意い地じ悪わるく光り、ハリーを見み据すえたままだった。テーブルの向こうから、マルフォイが身を乗り出した。
「ポッター、一人でブラックを捕つかまえようって思ってるのか?」
「そうだ、そのとおりだ」ハリーは無む造ぞう作さに答えた。
マルフォイの薄うすい唇くちびるが歪ゆがみ、意地悪そうにほくそ笑えんだ。
「言うまでもないけど、」落ち着きはらってマルフォイが言った。
「僕ぼくだったら、もうすでに何かやってるだろうなぁ。いい子ぶって学校にじっとしてたりしない。ブラックを探しに出かけるだろうなぁ」
「マルフォイ、いったい何を言いだすんだ?」ロンが乱暴に言った。