おじさんはハリーをギロリと睨にらむと、手紙を見下ろし、読み上げた。
親しん愛あいなるダーズリー様、御おん奥おく様さま。
私どもはまだ面めん識しきがございませんが、ハリーから息子のロンのことはいろいろお聞き及およびでございましょう。
ハリーがお話ししたかと思いますが、クィディッチ・ワールドカップの決勝戦が、次の月曜の夜行われます。夫のアーサーが、魔ま法ほう省しょうのゲーム・スポーツ部に伝つてがございまして、とてもよい席を手に入れることができました。
つきましては、ハリーを試合に連れていくことをお許しいただけませんでしょうか。これは一生に一度のチャンスでございます。イギリスが開かい催さい地ちになるのは三十年ぶりのことで、切符はとても手に入りにくいのです。もちろん、それ以後夏休みの間ずっと、喜んでハリーをわが家にお預あずかりいたしますし、学校に戻る汽車に無事乗せるようにいたします。
お返事は、なるべく早く、ハリーから普通の方法で私どもにお送りいただくのがよろしいかと存じます。なにしろマグルの郵便配達は、私どもの家に配達に来たことがございませんし、家がどこにあるのかを知っているかどうかも確かじゃございませんので。
ハリーにまもなく会えることを楽しみにしております。
敬けい具ぐ
モリー・ウィーズリーより
追つい伸しん 切手は不足していないでしょうね。
読み終えると、おじさんは胸ポケットに手を突っ込んで何か別の物を引っ張り出した。
「これを見ろ」おじさんが唸うなった。
おじさんは、ウィーズリー夫人の手紙が入っていた封ふう筒とうを掲かかげていた。ハリーは吹き出したいのをやっとこらえた。封筒一いっ杯ぱいに一いち分ぶの隙すきもなく切手が貼はり込んであり、真ん中に小さく残った空間に詰め込むように、ダーズリー家の住所が細こま々ごまとした字で書き込まれていた。
「切手は不足していなかったね」
ハリーは、ウィーズリー夫人がごく当たり前の間違いを犯おかしただけだというような調子を取り繕つくろった。おじさんの目が一瞬いっしゅん光った。