暖炉の板いた張ばりが破は裂れつし、電気ストーブが部屋を横切って吹っ飛んだ。瓦礫がれきや木こっ端ぱと一いっ緒しょくたになって、ウィーズリー氏、フレッド、ジョージ、ロンが吐はき出されてきた。ペチュニアおばさんは悲ひ鳴めいを上げ、コーヒーテーブルにぶつかって仰あお向むけに倒れたが、床に倒れ込む寸前、バーノンおじさんがそれを辛かろうじて支え、大口を開けたまま、物も言えずにウィーズリー一家を見つめた。揃そろいもそろって燃えるような赤毛一家で、フレッドとジョージはそばかすの一つ一つまでそっくりだ。
「これでよし、と」
ウィーズリー氏が息を切らし、長い緑のローブの埃ほこりを払い、曲がったメガネを直した。
「ああ――ハリーのおじさんとおばさんでしょうな!」
痩やせて背が高く、髪かみが薄うすくなりかかったウィーズリー氏が、手を差し出してバーノンおじさんに近づいた。おじさんは、おばさんを引きずって、二、三歩後あと退ずさりした。口をきくどころではない。一いっ張ちょう羅らの背せ広びろは埃で真っ白、髪も口くち髭ひげも埃まみれで、おじさんは急に三十歳さんじゅうも老ふけて見えた。
「あぁ――いや――申もうし訳わけない」
手を下ろし、吹き飛んだ暖炉を振り返りながら、ウィーズリー氏が言った。
「すべて私のせいです。まさか到着とうちゃく地点で出られなくなるとは思いませんでしたよ。実は、お宅たくの暖炉を、『煙えん突とつ飛ひ行こうネットワーク』に組み込みましてね――なに、ハリーを迎えにくるために、今日の午後にかぎってですがね。マグルの暖炉は、厳げん密みつには結んではいかんのですが――しかし、『煙えん突とつ飛ひ行こう規き制せい委い員いん会かい』にちょっとしたコネがありましてね、その者が細さい工くしてくれましたよ。なに、あっという間まに元通りにできますので、ご心配なく。子供たちを送り返す火を熾おこして、それからお宅の暖炉を直して、そのあとで私は『姿すがたくらまし』いたしますから」