ダーズリーおじさんもウィーズリー氏を奇き人じんだと思ったに違いない。ペチュニアおばさんを隠すようにして、ほんのわずか右のほうにそろりと体を動かした。まるでウィーズリー氏がいまにも二人に飛びかかって攻こう撃げきすると思ったかのようだった。
ダドリーが突然居い間まに戻ってきた。トランクがゴツンゴツン階段に当たる音が聞こえたので、ダドリーが音に怯おびえてキッチンから出てきたのだと、ハリーには察さっしがついた。
ダドリーはウィーズリー氏を恐こわ々ごわ見つめながら壁かべ伝づたいにそろそろと歩き、母親と父親の陰に隠れようとした。残念ながらバーノンおじさんの図ずう体たいでさえ、ペチュニアおばさんを隠すのには十分でも、ダドリーを覆おおい隠すにはとうてい間に合わなかった。
「ああ、この子が君の従兄いとこか。そうだね、ハリー?」ウィーズリー氏は何とかして会話を成り立たせようと、勇ゆう敢かんにも、もう一言突っ込みを入れた。
「そう。ダドリーです」ハリーが答えた。
ハリーはロンと目を見み交かわし、急いで互いに顔を背そむけた。吹き出したくてがまんできなくなりそうだった。ダドリーは尻しりが抜け落ちるのを心配しているかのように、しっかり尻を押さえたままだった。ところがウィーズリー氏は、この奇き怪かいな行動を心から心配したようだった。
ウィーズリー氏が次に口を開いたとき、その口調に気持が表れていた。ダーズリー夫婦がウィーズリー氏を変だと思ったと同じように、ウィーズリー氏もダドリーを変だと思ったらしい。それがハリーにははっきりわかった。ただ、ウィーズリー氏の場合は、恐きょう怖ふ心しんからではなく、気の毒に思う気持からだというところが違っていた。
「ダドリー、夏休みは楽しいかね?」ウィーズリー氏がやさしく声をかけた。
ダドリーはヒッと低い悲ひ鳴めいを上げた。巨大な尻しりに当てた手が、さらにきつく尻を締めつけたのをハリーは見た。