「笑い事じゃない!」ウィーズリーおじさんが怒ど鳴なった。
「こういうことがマグルと魔法使いの関係を著いちじるしく損そこなうのだ! 父さんが半生かけてマグルの不当な扱いに反対する運動をしてきたというのに、よりによってわが息子たちが――」
「俺おれたち、あいつがマグルだからあれを食わせたわけじゃない!」フレッドが憤ふん慨がいした。
「そうだよ。あいつがいじめっ子のワルだからやったんだ。そうだろ、ハリー?」
ジョージが相あい槌づちを打った。
「うん、そうですよ、ウィーズリーおじさん」ハリーも熱を込めて言った。
「それとこれとは違う!」ウィーズリーおじさんが怒った。「母さんに言ったらどうなるか――」
「私に何をおっしゃりたいの?」後ろから声がした。
ウィーズリーおばさんがキッチンに入ってきたところだった。小こ柄がらなふっくらしたおばさんで、とても面倒見のよさそうな顔をしていたが、いまは訝いぶかしげに目を細めていた。
「まあ、ハリー、こんにちは」ハリーを見つけるとおばさんは笑いかけた。それからまたすばやくその目を夫に向けた。
「アーサー、何事なの? 聞かせて」
ウィーズリーおじさんはためらった。ジョージとフレッドのことでどんなに怒っても、実は何が起こったかをウィーズリーおばさんに話すつもりはないのだと、ハリーにはわかった。
ウィーズリーおじさんがオロオロとおばさんを見つめ、沈ちん黙もくが漂ただよった。そのときキッチンの入口に、おばさんの陰から女の子が二人現れた。一人はたっぷりした栗くり色いろの髪かみ、前歯がちょっと大きい女の子、ハリーとロンの親友のハーマイオニー・グレンジャー。もう一人は、小柄な赤毛で、ロンの妹、ジニーだ。二人ともハリーに笑いかけ、ハリーもニッコリ笑い返した。するとジニーが真っ赤になった――ハリーが初めて「隠かくれ穴あな」に来たとき以来、ジニーはハリーにお熱だった。