「アーサー、いったい何なの? 言ってちょうだい」
ウィーズリーおばさんの声が、こんどは険けわしくなっていた。
「モリー、大したことじゃない」おじさんがモゴモゴ言った。
「フレッドとジョージが、ちょっと――だが、もう言って聞かせた――」
「こんどは何をしでかしたの? まさか、ウィーズリーW・ウィザードW・ウィーズWじゃないでしょうね――」ウィーズリーおばさんが詰め寄った。
「ロン、ハリーを寝しん室しつに案内したらどう?」ハーマイオニーが入口から声をかけた。
「ハリーはもう知ってるよ」ロンが答えた。「僕の部屋だし、前のときもそこで――」
「みんなで行きましょう」ハーマイオニーが意味ありげな言い方をした。
「あっ」ロンもピンと来た。「オッケー」
「ウン、俺おれたちも行くよ」ジョージが言ったが――。
「あなたたちは、ここにいなさい」おばさんが凄すごんだ。
ハリーとロンはそろそろとキッチンから抜け出た。ハーマイオニー、ジニーと一いっ緒しょに、二人は狭せまい廊ろう下かを渡り、ぐらぐらする階段を上の階へ、ジグザグと上っていった。
「ウィーズリーW・ウィザードW・ウィーズWって、何なの?」階段を上りながらハリーが聞いた。
ロンもジニーも笑い出したが、ハーマイオニーは笑わなかった。
「ママがね、フレッドとジョージの部屋を掃そう除じしてたら、注文書が束たばになって出てきたんだ」
ロンが声をひそめた。
「二人が発明した物の価格表で、ながーいリストさ。悪いた戯ずらおもちゃの。『だまし杖づえ』とか、『ひっかけ菓が子し』だとか、いっぱいだ。すごいよ。僕、あの二人があんなにいろいろ発明してたなんて知らなかった……」
「昔っからずっと、二人の部屋から爆発音が聞こえてたけど、何か作ってるなんて考えもしなかったわ。あの二人はうるさい音が好きなだけだと思ってたの」とジニーが言った。
「ただ、作った物がほとんど――っていうか、全部だな――ちょっと危険なんだ」
ロンが続けた。
「それに、ね、あの二人、ホグワーツでそれを売って稼かせごうと計画してたんだ。ママがカンカンになってさ。もう何も作っちゃいけませんって二人に言い渡して、注文書を全部焼き捨てちゃった……ママったら、その前からあの二人にさんざん腹を立ててたんだ。二人が『O・W・Lふくろう試し験けん』でママが期待してたような点を取らなかったから」
O・W・Lは、「普ふ通つう魔ま法ほうレベル」試験の略りゃくだ。ホグワーツ校の生徒は十五歳でこの試験を受ける。