二、三歩も行かないうちに、二人はハーマイオニーの猫、赤毛でがにまたのクルックシャンクスが裏庭から飛び出てくるのに出会った。瓶びん洗あらいブラシのような尻しっ尾ぽをピンと立て、足の生はえた泥んこのジャガイモのようなものを追いかけている。ハリーはそれが「庭にわ小こ人びと」だとすぐにわかった。身の丈たけせいぜい三十センチの庭小人は、ゴツゴツした小さな足をパタパタさせて庭を疾しっ走そうし、ドアのそばに散らかっていたゴム長なが靴ぐつにヘッドスライディングをした。クルックシャンクスがゴム長靴に前脚を一本突っ込み、捕まえようと引っ掻かくのを、庭小人が中でゲタゲタ笑っている声が聞こえた。一方、家の前のほうからは、何かがぶつかる大きな音が聞こえてきた。前庭に回ると、騒ぎの正体がわかった。ビルとチャーリーが二人とも杖つえをかまえ、使い古したテーブルを二つ、芝しば生ふの上に高々と飛ばし、お互いにぶっつけて落としっこをしていた。フレッドとジョージは応おう援えんし、ジニーは笑い、ハーマイオニーはおもしろいやら心配やらの複ふく雑ざつな顔で、生いけ垣がきのそばでハラハラしていた。
ビルのテーブルがものすごい音でぶちかましをかけ、チャーリーのテーブルの脚を一本もぎ取った。上のほうからカタカタと音がして、みんなが見上げると、パーシーの頭が三階の窓から突き出していた。
「静かにしてくれないか?」パーシーが怒ど鳴なった。
「ごめんよ、パース」ビルがニヤッとした。「鍋なべ底ぞこはどうなったい?」
「最悪だよ」パーシーは気難しい顔でそう言うと、窓をバタンと閉めた。
ビルとチャーリーはクスクス笑いながら、テーブルを二つ並べて安全に芝生に降ろし、ビルが杖を一ひと振ふりして、もげた脚を元に戻し、どこからともなくテーブルクロスを取り出した。