七時になると、二に卓たくのテーブルは、ウィーズリーおばさんの腕を振るったご馳ち走そうがいく皿もいく皿も並べられ、重みで唸うなっていた。紺こん碧ぺきに澄すみ渡った空の下で、ウィーズリー家の九人と、ハリー、ハーマイオニーとが食卓についた。ひと夏中、だんだん古くなっていくケーキで生きてきた者にとって、これは天国だった。はじめのうち、ハリーはしゃべるよりもっぱら聞き役に回り、チキンハム・パイ、ゆでたジャガイモ、サラダと食べ続けた。
テーブルのいちばん端はしで、パーシーが父親に鍋底の報告書について話していた。
「火曜日までに仕上げますって、僕、クラウチさんに申し上げたんですよ」
パーシーがもったいぶって言った。
「クラウチさんが思ってらしたより少し早いんですが、僕としては、何事も余よ裕ゆうを持ってやりたいので。クラウチさんは僕が早く仕上げたらお喜びになると思うんです。だって、僕たちの部はいまものすごく忙いそがしいんですよ。なにしろワールドカップの手配なんかがいろいろ。『魔ま法ほうゲーム・スポーツ部ぶ』からの協力があってしかるべきなんですが、これがないんですねぇ。ルード・バグマンが――」
「私はルードが好きだよ」ウィーズリー氏がやんわりと言った。
「ワールドカップのあんなにいい切符を取ってくれたのもあの男だよ。ちょっと恩おんを売ってあってね。弟のオットーが面倒を起こして――不自然な力を持つ芝しば刈かり機のことで――私がなんとか取り繕つくろってやった」
「まあ、もちろん、バグマンは好かれるくらいが関せきの山やまですよ」パーシーが一いっ蹴しゅうした。
「でも、いったいどうして部長にまでなれたのか……クラウチさんと比べたら! クラウチさんだったら、部下がいなくなったのに、どうなったのか調査もしないなんて考えられませんよ。バーサ・ジョーキンズがもう一ヵ月も行ゆく方え不ふ明めいなのはご存ぞん知じでしょう? 休きゅう暇かでアルバニアに行って、それっきりだって?」
「ああ、そのことは私もルードに尋たずねた」ウィーズリーおじさんは眉まゆをひそめた。
「ルードが、バーサは以前にも何度かいなくなったと言うのだ――もっとも、これが私の部下だったら、私は心配するだろうが……」