「セドが、もちろん、君のことを話してくれたよ」エイモス・ディゴリーが言葉を続けた。「去年、君と対戦したことも詳くわしく話してくれた……わたしは息子に言ったね、こう言った――セド、そりゃ、孫まご子こにまで語り伝えることだ。そうだとも……おまえはハリー・ポッターに勝ったんだ!」
ハリーは何と答えてよいやらわからなかったので、ただ黙だまっていた。フレッドとジョージの二人が、揃そろってまたしかめっ面になった。セドリックはちょっと困ったような顔をした。
「父さん、ハリーは――箒ほうきから落ちたんだよ」セドリックが口ごもった。「そう言ったでしょう……事故だったって……」
「ああ。でもおまえは落ちなかったろ。そうだろうが?」エイモスは息子の背中をバシンと叩たたき、快かい活かつに大声で言った。「うちのセドは、いつも謙けん虚きょなんだ。いつだってジェントルマンだ……しかし、最高の者が勝つんだ。ハリーだってそう言うさ。そうだろうが、え、ハリー? 一人は箒から落ち、一人は落ちなかった。天才じゃなくったって、どっちがうまい乗り手かわかるってもんだ!」
「そろそろ時間だ」
ウィーズリーおじさんがまた懐かい中ちゅう時計どけいを引っ張り出しながら、話題を変えた。
「エイモス、ほかに誰か来るかどうか、知ってるかね?」
「いいや、ラブグッド家はもう一週間前から行ってるし、フォーセット家は切符が手に入らなかった」エイモス・ディゴリーが答えた。「この地ち域いきには、ほかには誰もいないと思うが、どうかね?」
「私も思いつかない」ウィーズリーおじさんが言った。
「さあ、あと一分だ……準備しないと……」
おじさんはハリーとハーマイオニーのほうを見た。
「『移動キー』に触さわっていればいい。それだけだよ。指一本でいい――」
背中のリュックが嵩かさ張ばって簡単ではなかったが、エイモス・ディゴリーの掲かかげた古ブーツの周りに九人がぎゅうぎゅうと詰め合った。