ハリーはロンとのもつれを解ほどいて立ち上がった。どうやら霧深い辺へん鄙ぴな荒地のようなところに到着とうちゃくしたらしい。目の前に、疲れて不ふ機き嫌げんな顔の魔法使いが二人立っていた。一人は大きな金時計を持ち、もう一人は太い羊よう皮ひ紙しの巻まき紙がみと羽根ペンを持っている。二人ともマグルの格かっ好こうをしてはいたが、素人しろうと丸出しだった。時計を持ったほうは、ツイードの背せ広びろに太ふと腿ももまでのゴム引びきを履はいていたし、相あい方かたはキルトにポンチョの組み合わせだった。
「おはよう、バージル」
ウィーズリーおじさんが古ブーツを拾い上げ、キルトの魔法使いに渡しながら声をかけた。受け取ったほうは、自分の脇わきにある「使用済ずみ移動ポートキー」用の大きな箱にそれを投げ入れた。ハリーが見ると、箱には古新聞やら、ジュースの空あき缶かん、穴の空いたサッカーボールなどが入っていた。
「やあ、アーサー」バージルは疲れた声で答えた。
「非ひ番ばんなのかい、え? まったく運がいいなあ……わたしらは夜通しここだよ……さ、早くそこをどいて。五時十五分に黒い森から大集団が到着する。ちょっと待ってくれ。君のキャンプ場を探すから……ウィーズリー……ウィーズリーと……」
バージルは羊皮紙のリストを調べた。
「ここから四百メートルほどあっち。歩いていって最初に出くわすキャンプ場だ。管理人はロバーツさんという名だ。ディゴリー……二番目のキャンプ場……ペインさんを探してくれ」
「ありがとう、バージル」
ウィーズリーおじさんは礼を言って、みんなについてくるよう合図した。
一いっ行こうは荒涼こうりょうとした荒地を歩きはじめた。霧でほとんど何も見えない。ものの二十分も歩くと、目の前にゆらりと、小さな石いし造づくりの小屋が見えてきた。その脇に門がある。その向こうに、ゴーストのように白くぼんやりと、何百というテントが立ち並んでいるのが見えた。テントは広々としたなだらかな傾けい斜しゃ地ちに立ち、地平線上に黒々と見える森へと続いていた。そこでディゴリー父おや子こにさよならを言い、ハリーたちは小屋の戸口へ近づいていった。
第7章 巴格曼和克劳奇