「いったいどこに行く気だ」バーノンおじさんが叫さけんだ。ハリーが答えないでいると、おじさんはキッチンの向こうからドスンドスンとやってきて、玄げん関かんホールへの出入口を塞ふさいだ。
「話はまだすんどらんぞ、小僧こぞう」
「どいてよ」ハリーは静かに言った。
「おまえはここにいて、説明するんだ。息子がどうして――」
「どかないと、呪のろいをかけるぞ」ハリーは杖を上げた。
「その手は食わんぞ」バーノンおじさんが凄すごんだ。「おまえが学校とか呼んでいるあのバカ騒ぎ小屋の外では、おまえは杖を使うことを許されていない」
「そのバカ騒ぎ小屋が僕を追い出した。だから僕は好きなことをしていいんだ。三秒だけ待ってやる。一――二――」
バーンという音が、キッチン中に鳴り響ひびいた。ペチュニアおばさんが悲鳴ひめいを上げた。バーノンおじさんも叫び声を上げて身をかわした。しかしハリーは、自分が原因ではない騒ぎの源みなもとを探していた。今夜はこれで三度目だ。すぐに見つかった。キッチンの窓の外側に、羽毛うもうを逆立さかだてたメンフクロウが目を白黒させながら止まっていた。閉じた窓に衝しょう突とつしたのだ。
バーノンおじさんがいまいましげに「ふくろうめ」と叫ぶのを無む視しし、ハリーは走って行って窓をこじ開けた。ふくろうが差し出した脚あしに、小さく丸めた羊よう皮ひ紙しが括くくりつけられていた。ふくろうは羽毛をプルプルッと震ふるわせ、ハリーが手紙をはずすとすぐに飛び去った。ハリーは震える手で二番目のメッセージを開いた。大急ぎで書いたらしく、黒インクの字が滲にじんでいた。
ハリー――
ダンブルドアがたったいま魔法省に着いた。なんとか収しゅう拾しゅうをつけようとしている。
おじさん、おばさんの家を離はなれないよう。これ以上魔法を使ってはいけない。杖を引き渡してはいけない。
アーサー・ウィーズリー
ダンブルドアが収拾をつけるって……どういう意味 ダンブルドアは、どのぐらい魔法省の決定を覆くつがえす力を持っているのだろう それじゃ、ホグワーツに戻るのを許されるチャンスはあるのだろうか ハリーの胸に小さな希望が芽め生ばえたが、それもたちまち恐きょう怖ふで捻ねじれた――魔法を使わずに杖つえの引き渡しを拒こばむなんて、どうやったらいいんだ 魔法省の役人と決けっ闘とうしなくちゃならないだろうに。でもそんなことをしたら、奇跡きせきでも起きなきゃ退学どころかアズカバン行きだ。
次々といろいろな考えが浮かんだ……逃とう亡ぼうして、魔法省に捕つかまる危き険けんを冒おかすか、踏ふみ止とどまって、ここで魔法省に見つかるのを待つか。ハリーは最初の道を取りたいという気持のほうがずっと強かった。しかし、ウィーズリーおじさんがハリーにとって最さい善ぜんの道を考えていることを、ハリーは知っていた……それに、結局、ダンブルドアは、これまでにも、もっと悪いケースを収しゅう拾しゅうしてくれたんだし。
邓布利多正在调查整个事情……这是什么意思呢?邓布利多有多大能耐,能够凌驾于魔法部之上?这么说,他还有可能重新回到霍格沃茨?一线小小的希望在哈利心中迅速升起,但几乎立刻就被惊慌的情绪扼杀了—— 他不施魔法,怎么可能拒绝交出魔杖呢?他必须与魔法部的代表展开较量。如果他那么做了,能够逃脱阿兹卡班监狱已算侥幸,更别说给学校开除了。