「たくさんだ――くそ――ふくろうめ」バーノンおじさんは気を削そがれたようにブツブツ言うと、ドスドスと窓まど際ぎわまで行って、もう一度ピシャリと窓を閉めた。
ポッター殿
約二十二分前の当方からの手紙に引き続き、魔法省は、貴殿きでんの杖つえを破は壊かいする決定を直ただちに変へん更こうした。貴殿は、八月十二日に開かい廷ていされる懲ちょう戒かい尋じん問もんまで、杖を保ほ持じしてよろしい。公式決定は当日下されることになる。
ホグワーツ魔法魔術学校校長との話し合いの結果、魔法省は、貴殿の退学の件けんについても当日決定することに同意した。したがって、貴殿は、更さらなる尋問まで停てい学がく処しょ分ぶんであると理解されたし。
貴殿のご多幸たこうをお祈いのりいたします。
敬具けいぐ
魔法省
魔法不ふ適てき正せい使し用よう取とり締しまり局きょく
マファルダ・ホップカーク
ハリーは手紙を立て続けに三度読んだ。まだ完全には退学になっていないと知って、胸に支つかえていた惨みじめさが少し緩ゆるんだ。しかし、恐れが消え去ったわけではない。どうやら八月十二日の尋問にすべてがかかっている。
「それで」バーノンおじさんの声で、ハリーはいまの状況を思い出した。
「こんどは何だ 何か判はん決けつが出たか ところでおまえらに、死刑はあるのか」おじさんはいいことを思いついたとばかり言葉をつけ加えた。
「尋問に行かなきゃならない」ハリーが言った。
「そこでおまえの判決が出るのか」
「そうだと思う」
「それでは、まだ望みを捨すてずにおこう」バーノンおじさんは意地悪く言った。
「じゃ、もういいね」
ハリーは立ち上がった。独ひとりになりたくてたまらなかった。考えたい。それに、ロンやハーマイオニー、シリウスに手紙を送ったらどうだろう。
「だめだ、それでもういいはずがなかろう」バーノンおじさんが喚わめいた。「座るんだ」
「こんどは何なの」ハリーはイライラしていた。
「ダドリーだ」バーノンおじさんが吠ほえた。「息子に何が起こったのか、はっきり知りたい」
「いいとも」ハリーも叫さけんだ。腹が立って、手に持ったままの杖つえの先から、赤や金色の火花が散った。ダーズリー親子三人が、恐きょう怖ふの表情で後あと退ずさりした。