「ダドリーは僕と、マグノリア・クレセント通りとウィステリア・ウォークを結ぶ路ろ地じにいた」ハリーは必死で癇かん癪しゃくを抑おさえつけながら、早口で話した。「ダドリーが僕をやり込めようとした。僕が杖を抜ぬいた。でも使わなかった。そしたら吸きゅう魂こん鬼きが二人現れて――」
「しかし、いったい何なんだ そのキューコントイドは」バーノンおじさんが、カッカしながら聞いた。「そいつら、いったい何をするんだ」
「さっき、言ったよ――幸福感を全部吸すい取っていくんだ」ハリーが答えた。「そして、機会きかいがあれば、キスする――」
「キスだと」バーノンおじさんの目が少し飛び出した。「キスするだと」
「そう呼んでるんだ。口から魂たましいを吸い取ることを」
ペチュニアおばさんが小さく悲鳴ひめいを上げた。
「この子の魂 取ってないわ――まだちゃんと持って――」
おばさんはダドリーの肩をつかみ、揺ゆり動かした。まるで、魂がダドリーの体の中でカタカタ音を立てるのが聞こえるかどうか、試ためしているようだった。
「もちろん、あいつらはダドリーの魂を取らなかった。取ってたらすぐわかる」ハリーはイライラを募つのらせていた。
「追おっ払ぱらったんだな え、坊主ぼうず」バーノンおじさんが声こわ高だかに言った。何とかして話を自分の理解できる次元じげんに持っていこうと奮ふん闘とうしている様子だ。「パンチを食らわしたわけだ。そうだな」
「吸魂鬼にパンチなんて効きかない」ハリーは歯軋はぎしりしながら言った。
「それなら、いったいどうして息子は無事なんだ」バーノンおじさんが怒ど鳴なりつけた。「それなら、どうして息子はもぬけの殻からにならなかった」
「僕が守しゅ護ご霊れいを使ったから――」
シューッ。カタカタという音、羽撃はばたき、パラパラ落ちる埃ほこりとともに、四羽目のふくろうが暖炉だんろから飛び出した。