「なんたることだ」喚わめき声とともに、バーノンおじさんは口ひげをごっそり引き抜いた。ここしばらく、そこまで追い詰つめられることはなかったのだが。
「ここにふくろうは入れんぞ こんなことは許さん。わかったか」
しかし、ハリーはすでにふくろうの脚あしから羊よう皮ひ紙しの巻まき紙がみを引っ張り取っていた。ダンブルドアからの、すべてを説明する手紙に違いない――吸魂鬼、フィッグばあさん、魔法省の意図、ダンブルドアがすべてをどう処しょ理りするつもりなのかなど――そう強く信じていただけに、シリウスの筆ひっ跡せきを見てハリーはがっかりした。そんなことはこれまで一度もなかったのだが。ふくろうのことで喚わめき続けるバーノンおじさんを尻目しりめに、いま来たふくろうが煙突に戻るとき巻き上げたもうもうたる埃ほこりに目を細めて、ハリーはシリウスの手紙を読んだ。
アーサーが、何が起こったのかを、いま、みんなに話してくれた。何があろうとも、決して家を離はなれてはいけない。
これだけいろいろな出来事が今夜起こったというのに、その回答がこの手紙じゃ、あまりにもお粗末そまつじゃないか、とハリーは思った。そして、羊よう皮ひ紙しを裏うら返がえし、続きはないかと探した。しかし何もない。
ハリーはまた癇かん癪しゃく玉だまが膨ふくらんできた。二体の吸きゅう魂こん鬼きをたった一人で追い払ったのに、誰も「よくやった」って言わないのか ウィーズリーおじさんもシリウスも、まるでハリーが悪さをしたかのような反応で、被害ひがいがどのくらいかを確かく認にんするまでは、ハリーへの小言こごともお預あずけだとでも言わんばかりだ。
「……ふくろうがつっつき、もとい、ふくろうがつぎつぎ、わしの家を出たり入ったり。許さんぞ、小僧こぞう、わしは絶対――」
「僕はふくろうが来るのを止められない」ハリーはシリウスの手紙を握にぎりつぶしながらぶっきらぼうに言った。
「今夜何が起こったのか、本当のことを言え」バーノンおじさんが吠ほえた。「キューコンダーとかがダドリーを傷きずつけたのなら、なんでおまえが退学になる おまえは『例のあれ』をやったのだ。自分で白はく状じょうしただろうが」