たしかにハーマイオニーの言うとおりだった。宿題はやっとのことで追いついている始末しまつだ。もっとも、アンブリッジの罰則ばっそくで毎晩まいばん時間を取られることがなくなったので、前よりはずっとよかった。ロンはハリーよりも宿題が遅おくれていた。ハリーもロンも週二回のクィディッチの練習がある上、ロンには監かん督とく生せいとしての任務にんむがあった。ハーマイオニーは二人のどちらよりもたくさんの授業を取っていたのに、宿題を全部すませていたし、しもべ妖精の洋服を編あむ時間まで作っていた。編み物の腕が上がったと、ハリーも認めざるをえなかった。いまでは、ほとんど全部、帽子ぼうしとソックスとの見分けがつくところまできていた。
ホグズミード行きの日は、明るい、風の強い朝で始まった。朝食のあと、行列してフィルチの前を通り、フィルチは、両親か保ほ護ご者しゃに村の訪問ほうもんを許可された生徒の長いリストと照らし合わせて、生徒をチェックした。シリウスがいなかったら、村に行くことさえできなかったことを思い出し、ハリーは胸がちくりと痛んだ。
ハリーがフィルチの前に来ると、怪しげな気配を嗅かぎ出そうとするかのように、フィルチがフンフンと鼻の穴を膨ふくらませた。それからこくっと頷うなずき、その拍ひょう子しにまた顎あごをわなわな震ふるわせはじめた。ハリーはそのまま石段を下り、外に出た。陽ひ射ざしは明るいが寒い日だった。
「あのさ――フィルチのやつ、どうして君のことフンフンしてたんだ」
校門に向かう広い馬車道を三人で元気よく歩きながら、ロンが聞いた。
「クソ爆弾ばくだんの臭いがするかどうか調べてたんだろう」ハリーはフフッと笑った。「言うの忘れてたけど……」
ハリーはシリウスに手紙を送ったこと、そのすぐあとでフィルチが飛び込んできて、手紙を見せろと迫せまったことを話して聞かせた。ハーマイオニーはその話に興きょう味みを持ち、しかもハリー自身よりずっと強い関心かんしんを示したのはちょっと驚おどろきだった。
「あなたがクソ爆弾を注文したと、誰かが告げ口したって、フィルチがそう言ったの でも、いったい誰が」
「さあ」ハリーは肩をすくめた。「マルフォイかな。おもしろいことになると思ったんだろ」
三人は羽の生はえたイノシシが載のっている高い石柱の間を通り、村に向かう道を左に折れた。風で髪かみが乱れ、バラバラと目に掛かかった。
「マルフォイ」ハーマイオニーが疑わしそうな顔をした。「うーん……そう……そうかもね……」
それからホグズミードのすぐ外に着くまで、ハーマイオニーは何かじっと考え込んでいた。