「えー」ハーマイオニーは緊きん張ちょうで、いつもより声が少し上うわずっていた。「それでは、――えー――こんにちは」
みんなが、こんどはハーマイオニーのほうに注意を集中したが、目はときどきハリーのほうに走らせていた。
「さて……えーと……じゃあ、みなさん、なぜここに集まったか、わかっているでしょう。えーと……じゃあ、ここにいるハリーの考えでは――つまりハリーがハーマイオニーをきつい目で見た、私の考えでは――いい考えだと思うんだけど、『闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ』を学びたい人が――つまり、アンブリッジが教えてるようなクズじゃなくて、本物を勉強したい人という意味だけど――」ハーマイオニーの声が急に自信に満ち、力強くなった。「――なぜなら、あの授業は誰が見ても『闇の魔術に対する防衛術』とは言えません――」そうだ、そうだ、とアンソニー・ゴールドスタインが合あいの手てを入れ、ハーマイオニーは気をよくしたようだった。「――それで、いい考えだと思うのですが、私は、ええと、この件は自分たちで自主的にやってはどうかと考えました」
ハーマイオニーはひと息ついてハリーを横目で見てから言葉を続けた。
「そして、つまりそれは、適切てきせつな自己防衛を学ぶということであり、単なる理論ではなく、本物の呪じゅ文もんを――」
「だけど、君は、『闇の魔術に対する防衛術』のふくろうもパスしたいんだろ」マイケル・コーナーが言った。
「もちろんよ」ハーマイオニーがすかさず答えた。「だけど、それ以上に、私はきちんと身を護まもる訓練を受けたいの。なぜなら……なぜなら……」
ハーマイオニーは大きく息を吸い込んで最後の言葉を言った。
「なぜならヴォルデモート卿きょうが戻ってきたからです」
たちまち予想どおりの反応はんのうがあった。チョウの友達は金切かなきり声ごえを上げ、バタービールをこぼして自分の服にひっかけた。テリー・ブートは思わずびくりと痙攣けいれんし、パドマ・パチルは身震みぶるいし、ネビルはヒエッと奇声きせいを発しかけたが、咳せきをしてなんとかごまかした。しかし、全員がますますらんらんとした目でハリーを見つめた。